植田重雄, 加藤智見 訳、岩波書店、1992年3月、249p、15cm
(全2巻) 初版 カバー付 カバーヤケ無し 本体天2冊少シミ 小口極少天シミ (上巻は1ヶ所、下巻は8ヶ所) 本体小口と地ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好の並本です。
神秘主義思想の流れを汲むと言われるシレジウス。彼の思索はハイデガー、ブーバー、シュタイナー等の様々な思想家達に影響を与えています。この全6章、日本語訳では上下巻にまでわたる詩集は、実に平明かつ透徹な仕方で様々な主題についてうたわれています。
全てのシレジウスの思想が、「私」「神」というものと密接に論じられているのに注意せねばならないでしょう。私が居なければ神も居ないし、神と私の占めるものは同じであるのだから、私は自らの内奥に真摯かつ謙虚に住まねばならない。私は神と同じものを持つ自分を貶めてはならないのだ。
このような世界観、倫理観は人によってアレルギーを持ってしまう様なものであるかもしれません。神と共に神と為ろうとする求道者たるシレジウスの道は我々に辿り直せるものではないのかもしれないし、逆に単純な自己肯定、新興宗教的認識へと陥ってしまう危険性もあるでしょう。
それでも絶対的なものを裏付けにした自己への回帰がうたわれる本詩集は、危険性を孕みつつも、現代人が示唆を受けるに十分な輝きを持っているのです。