元東京弁護士会会長を務め、私と共に三島由紀夫文学を研究していた故笹原桂輔弁護士は生前、三島由紀夫「奔馬」のストーリーのモデルとなった昭和初期の神兵隊内乱予備事件について、示唆に富む考察をしている。「奔馬」は三島由紀夫の代表作「豊饒の海」四部作のひとつだが、隠し絵のような謎があるという。「奔馬」取材で知った明治初期におこった熊本の神風連思想に感化され、壮絶な最後を遂げた登場人物たちと自分を同一視し、命をかけるようなことを起こしたいと感じた三島がいた一方で、昭和の神兵隊内乱予備事件のように市ヶ谷事件も未遂に終わって裁判闘争も考えていたのではないか。笹原氏によれば昭和45年の市ヶ谷事件の直前、事件の決行を告げる書簡を3人の知人に送ったという。決行して壮絶な死を望む反面、誰かが「密告」することで止めてほしかったのではないのか。花井卓蔵は三島由紀夫の祖父(平岡定太郎)の弁護も担当した。
①神兵隊事件公判速記録 5~85回 昭15年5月 20冊 約6,000頁 鉛筆書
②神兵隊事件公判出缺一覧表 1枚
③神兵隊事件弁護人 弁論要目
④神兵隊事件証據金品総目録 20枚36頁
⑤神兵隊事件 忌避ノ原由疏門書
⑥神兵隊事件意見書㊙ 197枚
⑦血盟団事件 弁護資料 全文万年筆にて手書 便箋59枚
⑧五・一五事件 恐喝被告事件記録 本間憲一郎他 意見書・決定書刑事訴訟記録 昭7・8年 3冊
⑨⑩五・一五事件 上告趣意書 被告人大川周明 2冊
⑪天行会事件概要 頭山秀三・本間憲一郎他 証人古賀廉造 2冊
⑫申請證人に対する訊問要項 影山正治外16名
⑬黒龍会 内田良平他3名 殺人豫備 東京地方裁判所第二刑事部 5冊目は花井法律事務所が写し換えたもの
⑬黒龍会 加藤高明首掴暗殺未遂記録 内田良平他 大14年6月
⑬黒龍会同人 首相暗殺冤罪事件公判録 大15年2月
⑭昭和2年度 大審院判決書綴 出口王仁三郎・浅野和三郎他1名 花井卓蔵法律事務所
⑭大本教事件第一審・第二審上告審判決書 合綴 昭2