Frederico García Lorca、Alianza、1981年、193 pp.
スペイン語。書き込みなし。20世紀スペイン文学を代表する詩人・劇作家フェデリコ・ガルシア・ロルカによる戯曲
『Yerma(イェルマ)』です。本作は、『血の婚礼』『ベルナルダ・アルバの家』と並ぶロルカのいわゆる**「農村三部作」の一つで、母性・不妊・女性の身体と社会的抑圧という主題を、神話的かつ詩的な言語で描いた近代悲劇の名作として知られています。子を望みながらも叶わない主人公イェルマの苦悩は、個人の内面にとどまらず、共同体の規範や沈黙の暴力を浮かび上がらせます。ロルカ独特の象徴(血・水・月・歌)を多用した表現は、古代悲劇を思わせる構造を持ち、現在も高い評価を受けています。本書の表紙に用いられている線画は、ロルカ自身によるドローイングをもとにしたもので、詩・演劇・美術を横断したロルカの創作世界を象徴しています。叫び(Ay!)、月、身体の緊張感といったモチーフは、戯曲『イェルマ』の主題と強く呼応しており、作品世界を視覚的にも味わえる一冊です