工藤真由美, 八亀裕美 著、講談社、2008年11月、205p、19cm
1刷 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体地に1ヶ所点シミ 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 奥付に小レッイテル春付ありますが保存状態良好です。
方言の本というと,アクセントや語彙の地域差が主に話題になることが多い。だが,この本では文法を中心に見ていく。文法というととっつきにくいイメージをお持ちの方が多いと思うが,この本は平易な記述で読者を言語学の最新の考え方にいざなう。言語学の基礎知識などは必要ない。
例えば,エヴィデンシャリティ(evidentiality, 証拠性)という文法範疇は,高校英語で見慣れた時制や主語などとは違って,この本で初めて目にする方も多いと思う。それはそのはずで,言語学の専門分野でも,この20年くらいで論じられ始めた「新しいトピック」なのだ。でも心配はご無用。エヴィデンシャリティとはどんな場合に,どんな意味を表す文法形式であり,日本の方言を具体例としてこの文はこういう場面で用いられるが,こっちの文はこういう場面で用いられる,という具合に,具体的にわかりやすく説明される。また,言語類型論という視点で,世界の言語を広く多角的に見ていき,その視点から日本語の標準語よりも方言の方に世界の言語に共通する普遍性が見出されることを(いろいろな文法の領域で)提示しようと試みている。それはほぼ成功している。エヴィデンシャリティのような「業界」でも新しい概念が,平易な日本語(母語!)で,しかも,破格の値段で手にとって読める日本の出版業界に,心から感謝したいと思う。