網野善彦 ほか著、東京大学出版会、1998年6月、239p、20cm
10刷 カバー付 カバーヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し書き込み無し 奥付に小レッテル貼り付けありますが保存状態良好の美本です。
戦後の日本史学研究を動向として考えてみると、そこに幾つかの流れを見出すことは比較的容易である。
1つはそれまでと異なる大きな社会構造の転換に裏付けられた社会経済史学の流れ、であり、もう1つは国家や組織それに根拠を与えるための“法規範”から時代像を捉えようとする法史学或いは法社会史の流れである。
卑俗な表現が許されるならば少々乱暴かもしれないが、前者は“人間の行動から社会を解明しようとするスタンス”、後者は“人間の行動の背景から社会を解明しようとするスタンス”と言い直すこともできる。
戦後間もない時期から70年代にかけての日本史学界にあって常に脚光を浴びてきたのは前者だったが、その一方で地道ながらも後者は着実に実績を積み重ねてきた。
年代毎の動向で見るならば、社会経済史は50年代後半から70年代の半ばにかけて学界の中心的な流れを牽引し、80年代になるとアナール学派の登場も相俟って社会史と呼ばれるスタンスにウェイトが置かれ始めてきた。そうした背景もあって一貫して地道な研究が積み重ねられてきた法社会史が一躍、脚光を浴びることにつながっているのが現状である。
本書はこうした流れの中で後者のスタンスから“日本の中世社会”を理解しようとする意図に基づき4人の中世史家による考察と討論で構成されている。