北畠八穂 著、東京新聞出版局、昭和55年4月、189p、18cm
初版 函 帯付 函背少色アセ 函両面ヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
中原中也、太宰治、坂口安吾、堀辰雄、立原道造、林芙美子、島木健作、神西清、武田麟太郎、中島敦、大佛次郎、川端康成、室生犀星、中山義秀、秋田雨雀、平林たい子、吉屋信子、森田たま、由起しげ子、棟方志功の各氏です。
私は第一項を。1962(昭和37)年刊行の河上徹太郎著『わがデカダンス』の「中原中也の生き方」に、NHKが先年、河上氏を含めて10人ほどの人間に対して「俤をしのぶ ― 中原中也」という録音を行った、とあり、そこで、北畠八穂氏が語った内容を再掲されています。
北畠「私はキリストの奇蹟つていふものは、キリストが幾分ねえ、いたづらつ氣があつたつていふ話をしたんです。そしたら中原さんは、さうかなあ、キリストが奇蹟をしたのは非常におのづからのことで、自然なことぢやなかつたかしら、普通の人逹の心にある、不思議が起ればいいといふことをどうにかしてやりたいといふ愛情が濃くつて、キリストはそのために奇蹟をしたんぢやないかしら、といふ中原さんの御意見でございました。」
この二日後に、再訪がありましたが、北畠氏は病臥しており面会できず。「エス様の話」をしに来ていたらしい。その日に中原氏が発病したらしい、と書き添えてありました。
本書には、「その帰り道、中原さんは駅の広場のあたりで気分が悪くなり、その後寝込まれて、亡くなりました。」とあります。