越沢明 著、日本経済評論社、1988年12月、286p、20cm
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「新京は近代日本の都市計画史のなかで看過できぬ重要な意味をもっている。なぜならば、満州事変前の満鉄時代の長春都市計画は、近代日本都市計画の生みの親である後藤新平の都市計画に対する情熱の基をつくった原体験であること、そして満州事変後の満州国時代の新京都市計画は、それまで日本の都市計画が消化し、蓄積してきた理念と技術を全面的に適用した一大実験場であったということである」。
満州国の国都建設局は、地主・デベロッパー・行政を兼ねた三位一体であるため、日本に先駆けて、あるいは今なお実現できない、用途地域制・土地経営・緑地区の設定・低湿地の親水公園化・直角交叉の道路網・架空線の禁止・水洗便所の強制・中心地区を一定の建築様式で構成するといった高水準な都市計画を実現できた。植民地経営という条件を差し引いても、捨て去るには惜しまれる成功体験である。「日本では今日、都市計画関連の法規はきわめて精緻かつ膨大になっている。しかし、地帯収用、特別税、建築線、包括的国庫補助など肝心かなめの条項はいずれも骨抜きとなり、制度化されていない」。土地に関する行政がいかに難しいものか、その一端を知ることができる。