1984、137p、29cm
あいさつ
ウィーン美術史美術館は,エジプト部・古代部・彫刻工芸
部貨幣メダル部 絵画部など合計 10部門からなる大美術
館であり, 特にその絵画コレクションの質の高さによって世
界に知られています。 この美術館の豪華な建物自体は19世
紀末に,それまで分散して保管されていたハプスブルク家の
大コレクションを 「帝室及び王室の宮廷美術館」として統合
するために建てられたものです。 しかし, ここに収蔵されて
いる旧帝室コレクションの主体は, 15世紀中葉以来, 神聖
ローマ帝国の帝位を独占した同家の威信が世界に及んだ16
および17世紀に,このドイツ皇帝家の君主やその兄弟たち
が, 自家の光輝の高揚のために収集したものであり,そこに
は, 芸術に対する「オーストリア家」の深い理解と洗練され
た趣味が反映されています。
このたびの 「ハプスブルク家収集の名画ウィーン美術
史美術館展」 は, 「ウィーン画廊」の創設者といえる大公レ
オポルト・ヴィルヘルム (16141662) の収集に係る16およ
び 17世紀のイタリア絵画の名品を中心に、歴代のハプスブ
ルク家君主ゆかりの絵画46点を選び, これに,「ハプスブル
ク帝国」 が消滅した 1918年以降の収蔵品2点を加えて, 16
世紀から20世紀に至る収集史のあらましを踏まえつつ、ヨ
ーロッパの近世絵画の名品を鑑賞しようとするものです。 出
陳作の中で,例えば,帝位にあった最大の収集家,皇帝ルド
ルフ2世の宮廷画家スプランゲルの《ヴィーナスとアドニ
ス》や,スペインのハプスブルク家から贈られたベラスケス
作の《白い服の王女マルガリータ・テレーサ》,また,女帝
マリア・テレジアの発注になるベロットの《ベルヴェデーレ
上宮からみたウィーン》などは, 作品自体としてのみならず,
ハプスブルク家の絵画収集の成立史との関連で,とりわけ興
味深いものでありましょう。
このたび, ウィーン美術史美術館をはじめ, オーストリア
共和国学術研究省,在日オーストリア大使館の全面的ご協力
により、同館が誇る名画の中から厳選された48点の近世ョ
ーロッパ絵画をご紹介できますことは,主催者一同歓びにた
えません。 本展開催にあたって、格別のご尽力を賜った学術
その他
ほぼ良好