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特別陳列「仏教版画」
日本の版画の歴史は古く、そして、幅が広い。多くの人々は、日本
の版画といえば、まず、浮世絵版画を想起するであろう。確かに、浮
世絵版画が、日本美術に対する認識を海外にまでひろめた功績は看過
できないし、それだけに内外を問わずその愛好者と研究者の数は多い。
しかし、仏の姿を木に刻み、墨や朱を塗り、これを紙や布に捺したり、
あるいは摺ったりした、いわゆる印仏や摺仏と呼ばれる仏教版画は、
古く平安時代から、独自の美の世界を展開してきたが、ながい日本の
版画の流れの中ではこれまで注目される機会が少なかった。今回、奈
良国立博物館に所蔵・寄託されている仏教版画のいくつかを展示する
ことにより、これまで、ともすれば等閑視されがちであった印仏や
仏の世界に光をあて、これらの版画のもつ美術史、文化史の上での意
義を再認識していただくことを期待している。
昭和五十三年三月
奈良国立博物館長
表紙少折れスジ　グラシン紙包装にてお届け致します。

大型本。オリジナル版画付き。ヤケシミ汚れと傷み、折れと中割れ背割れがあります。