東京天理教館、昭45、26cm
はじ めに
このギャラリー展も, かずをかさねること二十七回となり,そのうち図書館からの展示は,エジ
プト 古地図 芭蕉 西鶴本の歴史 近代文豪の筆蹟などで, 各展ごとに, 館の意図するおもな
主題を代表するものについて, 行なってきた。 そして今秋は, 開館満四十年をむかえることになった
が,この期を画し, 和漢洋にわたる全蔵書中から、かりに 「善本百選」 をこころみることにした。
周知のように本館は,大学図書館であるうえに, 創設いらい一般にも公開し, 門戸を大きくひら
いてきたのであるが, しだいに専門化するにつれ。 蒐書は深 高 角の度をまし, 専門書 特殊書
稀覯本などの方面においても域をひろめ、かえってむしろそれらの点で異色をもつかのごとき世
評をうけるにいたった。 このたび陳列した百点の書は,その中でも、主題にとってきわめて重要な文献であり, 書誌上のジャンルにおいて典型的な様式をもち, 且つまた, 遺品としての稀覯性が天
下に絶するものもあったりして,いずれの一品をとっても興趣の浅からぬものであるを疑わない。
いろいろな事情で,平素江湖に親近するをえない折から,このような機会に一人でも多くの人
の展観に供し, 蒐蔵書にしたしんでいただきたいものである。
昭和四十五年八月
薄ヤケ