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父との散歩 柳田国男と言えば「遠野物語」であるが、あの辺から日本民俗学に深く入っていくのであろうと思う。民俗学とはそれまで支配者中心の歴史学、社会学が主であったのを、民衆はどうであったかという学問で、まあ彼の創始になると言ってよいであろう。彼とはちょっと趣の違う門下の（彼は弟子というものは持たなかった）折口信夫の民俗学もあるのであるが、この本を読むと、彼は完全な書斎派であることが分かる。私に近い研究法である。 性格は厳格そうな印象を持っていたが、少なくとも家族にはおだやかであったようである。片腕と見込んでいた堀三千さんの夫君に先立たれたりしたことなどはあるにしても、まあ幸せな人生が全うできたということであろう。

山谷英雄歌集　　寒流 ＜東奥文芸叢書　 短歌 28＞