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竹村書房竹村坦宛　ペン書　
昭和十四年三月二十一日、甲府市御崎町五六より差し出す。葉書文を記す。「拝啓　ただいま、やっと、完成いたしました。二百五十一枚／です。ささやかなよろこびおわかち致したく、／不取敢、お知らせ申します。どうか、よき／本にして下さい。ただいま、井伏さん、甲府へ／來てゐます。二、三日中に、御歸京らしく、／私も、そのとき一緖に、原稿持って、上京いた／します。本の名は、やはり「愛と美について」。内／容は　□讀者へ (一枚)／□秋風記 (二十六枚)／□新樹の言葉 (四十枚)／□花燭 (四十八枚)／□愛と美について (三十三枚)／□火の鳥 (百三枚)／の順序で、もちろん全部、／書き下しです。いい短篇集が／できるのではないか、と思ってゐます。／まづは、取急ぎ。／草々。」。