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序 出版にあたって27
掲載写真一覧31
Ⅰ
性研究余録25
1 世界の春画37
2 古代性典、カーマスートラの検討49
3 ほれ薬57
4 巨根談義63
5 ホモの探求69
6 レズの悩み75
7 売春あれこれ81
8 性教育の今昔87
9.老人のセックス93
10 筆おろし、船おろし99
11 未婚 離婚 再婚105

序出版にあたって
性によって人間は悦びをおぼえ、美を創造する一方では性に悩まされ、 墮落へとつきすすむ。性は神
の与えたもうた恵みであると同時に悪魔のしわざでもある。文明が発達し、文化が異るにもかかわらず、
いつの時代、 どこにおいても、 セックスは人類が存在する根幹をなしてきており、これからもそれは変
わらないだろう。
性愛の快感や悦びは、すでに人間が動物的段階において発生しており、以後人類は性欲から完全に解
放されることなく、むしろ欲望の追及とその満足のための努力が連綿と続いて今日に至っている。 生殖
を性の本来の目的とする立場からみれば、動物のみが正常な性を営み、人間は異常な性愛に溺れている
ということになろうか。 議論の当否は歴史の審判にゆだねるとして、とにかく現実の社会に生起するい
わば性的事実を直視しなければならない。
私が性研究に足を踏みいれたのが1930年頃だから、もうかれこれ50年になる。その間の性意識の変遷
には目をみはるものがあるが、まだまだ日本は、あらゆる意味で性問題の後進国の域を出ていない。こ
れは性科学研究の遅れも原因の一つに考えられるが、確実に性解放に向かうなかで、歪められた側面が
目立つのをみていると、主として権力の側の意識の遅れを指摘せずにはおれない。
初版　二重函　状態良好