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初版・カバー・帯・鉛筆での線引き及び書き込みがあります

カバ帯　#八木書店古書目録/国文学（近代）/近代文学総論/作品/単行本///

初版　 カバー　 帯付　 カバーヤケ無し　 帯ヤケ無し　本体三方ヤケ無し　線引き無し　書き込み無し　保存状態良好の美本です。
著者浅野洋は、本書刊行に際して書き下ろした「『序』に代えて―『追儺』余談―」で、「昨今、『小説をいかに読むか』の議論が囂し」く、「小説の『読み』そのものよりは『いかに読むか』の方法論をさらに精密な形にしようと心を砕き、汗をしぼる向きは少なくな」く「『かういふ風に読むべき』という理論先行型の『読み』」が流行している、との現状認識を示している。寡聞にして、評者は、そうした議論が今どこで誰によってなされているのか知らない。その詮索は置くとして、ここでは、浅野の言う「理論先行型の『読み』」に対する氏の「読み」とはどのようなものなのか確認してみたい。
浅野は、森'外「追儺」「断案」の「小説といふものは何をどんな風に書いても好いものだ」との主張を援用し、「その（小説の―評者註）『読み方』も自由。暇つぶしであれ、心の慰めであれ、人生の指針であれ、各人の思うところを思うように読めばよい。むろん文学研究の対象として『読む』ことも」との持論を述べる。一見すると、かつて、1990年代に日本で流行したいわゆる「テクスト論」に対して、田中実から発せられた「ああも読める、こうも読める『和風てくすと論』」との批判を想起しそうになる。しかし、'外「追儺」を下敷きにした浅野が認めている「読み方」「『読む』こと」とは、いわゆる解釈の自由＝多様性ではなく、小説を読む目的の自由である。