横浜美術館、横浜美術館 朝日新聞社、1991、160、28cm
目次
「長谷川潔の世界」展に際して
長谷川潔と日本の近代美術
潔の父一彦のおいたちと横浜
河北倫明
小倉忠夫
長谷川仁
渡仏前 (1913年~1918年)
渡仏後Ⅰ: 模索と展開(1919年~1959年)
渡仏後II : マニエール ノワールの時代(1952年~1970年
資料
刷られた芸術 魚津章夫
長谷川潔:渡仏前の作品と思想 猿渡紀代子
技法解說
年譜
参考文献
作品リスト
あいさつ
このたび横浜美術館では, 横浜が生んだ世界的版画家, 長
谷川潔の生誕100年に際して, 生誕100年記念展 「長谷川潔の
世界」 を開催します。
長谷川潔は, 1891 (明治24) 年, 現在の横浜市西区御所山に
生まれ, 10歳までの少年期をこの地に過ごしました。 青年期
には,文芸雑誌 『聖盃』 (後に 『仮面』と改称)の同人となり、
雑誌や単行本の装丁・挿絵を手掛け, また, 木版画を中心に
創作版画を制作して, 1916(大正5)年には我が国初の版画家
団体「日本版画倶楽部」を結成しました。 1918(大正7) 年銅
版画技法習得のため, 横浜港からフランスに向けて単身旅立
ちました。 フランスでは銅版画のさまざまな技法を独力で研
究し,妥協を許さない制作態度で完成度の高い珠玉の名品を
生みだしました。 特に,当時ほとんど忘れ去られていた古典
銅版技法マニエール・ノワールを復活させ,これを近代的芸術
表現にまで高めたことは, 版画史上きわめて重要な業績です。
長谷川潔は,渡仏後の60余年間、一度も故国に帰ることな
く, 1980(昭和55)年89歳でパリに没しました。 長年にわたる
フランスでの芸術界への多大な貢献に対しては,フランス文
化勲章を始め,多くの賞が贈られています。
今回の展覧会では, 1) 渡仏前, 2) 渡仏後Ⅰ : 模索と展
開,3) 渡仏後II : マニエール・ノワールの時代, 4) 資料
の4部構成によって, 初期から晩年までの作品など約200点を
総合的に展示し, 静寂で深淵な神秘性を湛えた長谷川潔の芸
術世界を紹介します。
表紙少ヤケ 本文良好
表紙少ヤケ