「荻須高徳展 : パリの造形と詩」の検索結果

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荻須高徳氏は"パリを描く画家” といわれています。 私たちがパ
リについて語るとき, 古いこの町の風景とダブって、 必ず, オギス
の絵が現れてきます。 オギスの絵をとおしてパリの風景を知ること
さえあります。 自然が芸術を模倣する, といわれますが、オギスの
パリの絵はその一つの例証ともいえましょう。 荻須高徳氏は戦
前, 戦後あわせて三十年間, パリに住みパリを描いてきました。 パ
リ風景をとおしてきびしく造形を追求しつづけてきたわけです。 重
い絵具が厚くキャンバスについて, 渋く地味な構成と色調 •••••• それ
はそのまま古い町パリの長い時間に耐えてきた石積みの壁のように、
風や雨や太陽の光や人間の体臭までが塗りこめられた自然のマチェ
ールでもあります。 古都の時間と空間がオギスのキャンバスにもり
あげられています。 “パリの造形と詩” の主題展の意味がここにあ
ります。
今回の作品展は1957年から64年まで八年間の代表作九十八点で,
パリ風景に,一部フランスの田園風景とベニスの連作を加えたもの
です。荻須芸術の戦後の展開と新しい試みのみられるこの展観を贈
ることは,主催者として大きな喜びでありますとともに,この個展
を機会に,十八年ぶりに帰国された荻須高徳氏をファンと一緒に歓
迎したいと思います。 なお今回の作品展に貴重な収蔵品を快くご出
品いただいたフランスおよび日本のコレクター各位に厚くお礼を申
し上げます。
1965年3月
毎日新聞社
ヤケ　グラシン紙包装にてお届け致します。