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著：ジョルジュ・デュアメル　訳：木村太郎、白水社、昭和２１年(1946年)　三版、233 p 絶版、･･･

この『深夜の告白』は、同じくサヴァンを主人公とする他の四つの長編、即ち『二人の男』、『サラヴァンの日記』、『リヨネエ倶楽部』、『有るが儘に』、と共に、連作『サラヴァンの生涯と冒険』を形造るものである。　サラヴァンは富豪でも、労働者でもない。余裕はないが、食うには困らない小年金生活者である。彼は知識人でもない。サラヴァンの遺伝についても何らの言及はない。人々は彼の祖先を知らない。サラヴァン自身、彼の父に就いて殆んど知らない。母も、「世の常の母がわが子に対してしてやることをする」者としてしか存在しない。そのほか周囲の者は、同僚はもとより、親友にしろ、軈て現れる妻にしろ子にしろ、サヴァンの内部へは一歩も立入ることを禁じられている。サラヴァンはひたすら内部に生きる。