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劔神社宮司 田中範夫
越前国二の宮として織田金栄山の森厳な境内に鎮まります劔神社は、遥か北に位置する座ヶ岳の峰に祀られていた素盞嗚大神の
御神霊を、神功皇后摂政十三年にこの地に奉斎したと社記は伝えています。
奈良時代より朝廷を始め多くの人々から厚い信仰を集め、殊に武門の崇敬は、越前国を治めた朝倉氏は五代にわたり当社を祈願
所と定めて篤く信仰し、また、織田信長公は氏神として深く崇敬して神領地を保護してきました。江戸時代の末期には伏見宮の祈
願所にも定められ、更に、昭和三年には国幣小社の社号を賜わり、社殿を始め境内の整備が行われて古社の格式が整いました。
後は一時衰退したものの氏子・崇敬者の貴い崇敬によって、昭和五十三年には御鎮座一七五〇年を言祝ぎ本殿・織田神社・拝殿等
のお屋根の修復工事を行い御神威赫々たる神社となりました。
しかしながら、時に臨んで行ってきました本殿・織田神社のお屋根の葺替えは、自然の耐久年限が到来して損傷も著しくなって
きました。また、神社の将来を考えますとき、氏子・崇敬者との御神縁をより深め、より広めるためにも、境内の尊厳を護持しな
がら整備と施設の充実が必要となってきました。
時しも平成二十年は劔大神様が当地にお遷りになられてから一七八〇年の佳節を迎えますので、この年を奉祝して劔神社本殿・
織田神社本殿の修復を始め拝殿・鳥居等の修理や、参拝者の利便性を考えて境内各所の整備事業を計画した次第であります。
記念事業の推進に当たりましては、経済状況洵に厳しい時節の平成十七年十一月二十六日に「奉祝記念事業奉賛会」を設立いた
だいて以来、奉賛会長の越前町長関 敬信氏を始め奉賛会役員の皆様の至誠あふれるご尽力と、敬神の念篤い氏子・崇敬者の真心こ
もる御奉賛と、尊い劔大神様の御加護によって、神社史に残る大事業を無事終えることが出来ましたことは洵に光栄に存じるとこ
ろであります。
境内の鉾杉が天高く聳え、荘厳な杜に鎮まる社が、氏子・崇敬者の心安らぐ祈りの場として永遠
感謝の言葉と致します
カバー　良好