中脩三著、慶応通信、1961年2刷、38p、26cm
表紙ヤケ。小口ヤケ。
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はしがき
この小著は学生の便覧のために編集したもので、神経精神病の概括である。理解を容易にするためにすべて日本語を用い,全く形式化して、定義を簡潔に記憶しやすいように配列した。 しろうとにも早わかりがすると思う。
しかし、 実際の診療はこんなものでは決してないことも銘記して頂かなくてはならぬ。 この表は一種の旅行案内であり, 診断の順序と治療の方針が示されている。
今、一人の患者が来たとする。 その患者を簡単にこの表にあてはめて直ちに診断と治療を決定することはむずかしい。 一応は診断がつくが、それが本当に正確であるかどうかは、細心の注意と,経過の観察と、あらゆる可能性, 特に脳髄や脊髄の器質的変化,内科的疾患の有無, 内分泌的変化や代謝障害を考慮することはもちろん、遺伝関係,環境の分析,心因の調査, その他の外的原因の研究も必要である。
特に検者の経験と手腕がものを言うわけで、実用的には正しい知識をよくのみ込むことである。
しかし,われわれの取り扱う精神衛生問題や精神異常に関する限り,この小著によって、 少なくとも先生方の面接や神経科の診療に不自由を感ずることはないであろう。われわれは一患者に多数の因子の存在を仮定している。即ち、そう病的の分裂病もあれば,神経症的のうつ病もある。 社会的影響の多い分裂病も考えられる。
てんかんと分裂病の中間の病気もある。 こんな風にこの小著をダイナミックに利用することにより, 神経精神科の専門的診断も下し得ると信ずる。要するに精神医学は全く新しい社会医学の分野であり、未開拓で,その知識は断片的で、総合性がない。 多くの学派があり、各学派は全くその主張を異にして、つの共通の広場がない。 ヨーロッパ的考え方とアメリカのそれは, 衝突こそすれ、一方向に走ることはない。 この混沌期に於て万人の承認し得る分母を作ることは容易なわざではない。 この小著が, そんな意味に於ける一つの指針ともなれば幸である。
治療編は全く専門的の記載であり、素人が真似てはならぬ。しかし神経科の専門
看護婦,保健婦,精神衛生的ソリシアルワーカー その他児童施設の職員等には、よく読んで貰う必要があり、現在の神経精神科の治療法を漏れなく詳述したつもりである。
昭和34年10月20日
中脩三
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