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八代目市川団十郎死繪　トリミング無　裏打無　少焼け　保存良

八代目市川団十郎「死絵」。八代目は安政元年（1854）8月、大阪で衝撃的な切腹自殺を図る。三十二才の若さで、美貌独身の彼は女性の間で爆発的な人気があった。その上自殺の原因も不可解であったため、この時板行された死絵は古今最多で、その数については諸見解があるが、一説には三百種を超えたともいわれている。この図には、普通「死絵」にある法名、没年、行年などが一切書き込まれておらず、正式な「死絵」とはいいがたいが、詞書や追悼歌、鏡石に描かれたその顔付きや装束からも八代目の死絵であることは明らかである。この図には、自殺の原因と憶測された父親五代目海老蔵と、その愛妾おためとその子猿蔵が、高野山に八代目の成仏祈願詣でをしている場面が描かれている。詞書では、菩提を弔うとはいっても口先だけで、本心ではないと皮肉っている。