ドナルド・キーン 著 ; 金関寿夫 訳、朝日新聞社、1992年12月、202, 4p、18cm
1刷 カバー 帯付 カバー背と両折り返し少ヤケ カバー両面ヤケ無 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
日本文学研究の碩学キーンが18人の作家を回想した文章を、朝日新聞の4月から7月にかけて連載したものをまとめている。翻訳をした金関寿夫については、この文庫版の「あとがき」にすでに亡くなったことだけが触れられ、キーンとの関係はわからない。専門はアメリカ現代詩であり、ガートルード・スタインの翻訳もある優れた英文学者だった。
火野葦平・阿部知二・佐佐木信綱・谷崎潤一郎・木下順二・川端康成・永井荷風・吉田健一・河上徹太郎・石田淳・篠田一士・三島由紀夫・大岡昇平・有吉佐和子・開高健・司馬遼太郎・大江健三郎・安部公房について、個人的な思い出が綴られる。有名人ばかりなので、新事実の発掘というめざましいことはないが、どれも語り手の謙虚で温かい人柄を偲ばせる文章だ。キーンがこれらの作家に出会ったのは30歳の頃で、40年後にこの本が出た時には、大江健三郎以外はみな故人となっている。
佐佐木信綱が日本語学者のチェンバレンに学恩を受けていること、知日派の詩人エドマンド・ブランデンとキーンが会ったことなど、意外な発見はあった。