丸谷才一 編著、マガジンハウス、2001年6月、337, 8p、20cm
1刷 カバー付 帯欠 カバーヤケ無し 本体天と小口極少点シミ 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
イギリスで発表された名書評を集めた本、と言ってしまえばそれまでだが、深遠かつ知的興奮をかき立てる1冊である。たとえば、ホーキング著『ホーキング、宇宙を語る』の評者はラシュディ、そしてその書評を訳したのは池澤夏樹といった具合で、本好きの人たちにはこたえられない執筆陣がキラ星のごとく並んでいる。
それぞれの作品に、編者の丸谷才一による解説と心憎いまでに微に入り細をうがった訳注が添えられている。この訳注に編者の真骨頂を見る。文学の目利きである著者や編者のマニアックさ、いい意味での知識のひけらかし、ウィットに富んだ評論はどれも個性的で飽きない。
それにしても、感嘆を禁じえないのはイギリスにおける書評文化の絢爛(けんらん)さである。「書評というジャーナリズムこそ社会と文学を具体的に結びつけるもの」と編者はいう。ジャーナリスト、作家、学者など違った視点から書かれた書評は、社会的な影響力も持っているし、イギリス文化に厚みを与えている。