ミース・バウハウス/ベジュリフ・フリッタ・絵/レオ・ハース、トーマス・フリッタ-ハース・寄稿/よこや・・・
初版 96頁絵本 27×21センチ カバースレ ヤケ、シミ有 小口、天ヤケシミ有 -1944年1月22日-トミーの三歳の誕生日は、暗闇におおわれていました。ヨーロッパは戦争のさなかでした。トミーはそのころ、お父さん、お母さんと三人でチェコスロバキアのテレジンにあった、ユダヤ人強制収容所でくらしていたのです。ドイツの指導者ヒットラーは、ユダヤ人をきょくたんに憎みました。まわりの国をつぎつぎにせめると、おおぜいのユダヤ人を、むりやり、収容所におしこめてしまいました。トミーもまた一歳のときに、家を追われて、テレジンに連れてこられたのです。収容所のたかい壁の外には、すばらしい世界があります。でもおさないトミーは、そんなことを、まるで知りません。絵かきだったお父さんは息子のために、この世のありとあらゆるものを、絵にかいてやろうと思います。収容所のなかの仕事場で、ドイツ兵の目をぬすんでえがきつづけた絵を、お父さんは、けっして見つからないようにと、壁のなかのひみつの場所に、かくしておきました。やがてお父さんは、アウシュビッツへ送られて、死んでしまいます。けれども、トミーのためのスケッチブックは、戦争をくぐり抜けて生きのこり、いっしょにくらしていたおじさんの手で、ぶじ見つけだされました。戦争で幸せをうばわれた人たちの、深い悲しみとささやかな夢が、この本のなかに、あますところなくえがかれています。とても信じられないことばかりでしょうが、これは、ほんとうにあったことなのです。(紹介文) -トミーが三歳になった日 1944年1月22日テレジン のちの日のために/レオ・ハース「収容所の日々」 トーマス・フリッタ-ハース「思い出」