バートン版 アラビアンナイト物語 千夜一夜物語拾遺 <角川文庫 リバイバルコレクション>
「バートン版 カーマ・スートラ」 <角川文庫 リバイバルコレクション>
西洋古典好色文学入門 フランス文学者の澁澤龍彦が「奇書中の奇書、珍書中の珍書」と評しただけのことはある。著者はドイツ観念論の系譜につらなるフィヒテの弟子、古典学を教えたイエナ大学教授でありながら、この本は性交の体位90種を分類したものなのだ。フォルベルクは「個人的にはそうしたものを何も知らない」「自分のすべての知識は書籍から得たものだ」といっているが、このように微妙な、淫欲の問題を調べようとした動機はわからない。 このエロティックな主題をもった書物は、ギリシアやラテンの古典はもちろん、フランス、ドイツ、オランダ、イギリスなどの150冊以上の著作から500節の詩文を引用し、すべてが分類され注釈されている。全体はヴェヌスの転身譜、交悦について、男色について、吸茎について、自慰について、クンニリンゲス、擦淫者について、獣交について・スピントリエの態位・性交態位の解説、に分かれている。訳注は詳細で、人名索引も付き、まるっきり学術書の体裁だ。 訳文は明晰で、きわめて読みやすい。バートン版『千夜一夜』や『カーマ・スートラ』を翻訳した大場正史ならでは。
北斎とジャポニスム : HOKUSAIが西洋に与えた衝撃 〔展覧会図録〕