荻野 文子 (著)、河出書房新社、2003/5、225p
『徒然草』の一部を現代語訳し、著者独自の読み方を解説する。「疎み疎まれずに人とつき合う極意」「わが身を内から支える品性と教養の高め方」など7つの切り口で、『徒然草』から人生の見方や考え方を読み取る。
兼好は「桜は咲く前や散った後、月は雨に隠れた時や西に沈む時が趣深い」と記し、完成された美よりも「未完成の美」「凋落の美」を心に留めることを強調した。著者はこれを人生哲学に拡大し、「完全な状況だけを幸福と考えるのか。完成に至るまでの努力に価値はないのか」と問う。また、「衣食住と医療が確保できているなら、貧乏とは言わない」との一節を、現代人に心強い激励だと評する。
複雑な現代社会を力強く生き抜くヒントが詰まっている。
帯、カバーあり(カバースレ少)。本体天小口にシミ少。中身は使用感なくきれいです。