岡田信弘 著、放送大学教育振興会 NHK出版、2018-3、246p、21cm
まえがき
日本国憲法は,98条1項で,「この憲法は,国の最高法規であって
その条規に反する法律,命令,詔勅及び国務に関するその他の行為の全
部又は一部は,その効力を有しない」と規定しています。「憲法の最高
法規性」が定められているこの規定を見るだけで, 憲法の重要性が分か
ると思います。でも,皆さんの中には,憲法は民法などとは違って「身
近な存在」 ではなく, 何かよく分からない 「遠い存在」だと感じている
人も多いのではないでしょうか。
ところで,政治の舞台では,時期によって密度の差はありますが、日
本国憲法の改正をめぐる議論が絶えることなく行われてきました。 これ
から,熱い議論がたたかわされるようになるかもしれません。 改正の手
続を具体化した法律(「日本国憲法の改正手続に関する法律」) が,2010
(平成22)年に施行されたからです。
そのような時期を迎えている今、何よりも望まれることは日本国憲法
についてきちんと学ぶことではないでしょうか。 日本国憲法がそもそも
どのようなものであるのかを正確に知らないまま, 改正すべきだ, ある
いは改正すべきではないといっても,それは,実に虚しい議論といわざ
るをえません。 マスコミでは,かつて、 「改憲」,「論憲」,「創憲」と
いった言葉が飛びかっていましたが、 現在取り上げられるべき言葉は,
「学憲」 あるいは 「知憲」 であるように思われます。 日本国憲法を学ぶ
ことを通じて, それを正確に知ることこそ必要ではないでしょうか。
他
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