奇想天外 第1巻第8号 レイ・ブラッドベリ大特集(本邦初訳5篇一挙掲載)
ハロウィーンがやってきた <文学のおくりもの> ハロウィーンの夜、少年たちが迷い込んだ暗闇のお祭りの世界。たくさんの素敵なSFを書いた作家ブラッドベリが手がけた児童向けの長編です。ジョージ・ムニャイニの白黒線描の挿絵も、お話の一寸怖そうでどきどきさせる雰囲気を良く伝えてくれています。 10月も終わりになると南瓜の顔が並ぶのが、いつの間にか日本でもクリスマスと同じに年中行事の一つになってしまいました。このお話の始まるアメリカの町でも、子供たちは骸骨や魔女の衣装をつけ、走り回ります。でも、ハロウィーンってなに? このお話の中、お祭りの衣装をつけたまま、子供たちはハロウィーンの生まれた背景となるような昔の世界に旅をし、それを知ることになるのです。世界中のどこでも、人は死を考え、恐怖、悲しみを知るようになると、それを乗り越えるために更にいろいろなことを考えたのでしょう。生きるための工夫の一つが、形を変えてハロウィーンのようなお祭りになっていく。そんな風にこのお話は、暗闇の怖さ、死への恐れ、宗教の始まり、を自然に考えさせてくれます。 怖いような題材ですが、死ぬことをきちんと考えることでもっと楽しく生きられるというメッセージと、なにより少年たちのピチピチした行動が楽しいお話にしてくれています。 <文学のおくりもの 8>
謎解き広報課 わたしだけの愛をこめて 幻冬舎文庫 あ 67-3