セシュエー 編 ; 村上仁, 平野恵 訳、みすず書房、1999-5、160p
本書はルネと呼ばれる少女が, 精神分裂
病にかかり、著者セシュエー女史の献身的
な精神療法によって全快にいたる経過を,
ルネ自身が回復後, 回想的に記録したもの
で、 本書の後半では,治療者セシュエーが、
ルネの罹病及び回復過程を心理学的に分
析・説明している.
分裂病が精神療法的措置によって全快に
いたった事実は、 従来の医学者にとって驚
嘆すべきことであった。 分裂病の精神病理
学において革命的な事件である。 本書の刊
行が世界的に大きな反響を呼び, 相ついで
外国語訳が刊行されたのも、もとより理由
のあることである。
有名なフランスの哲学者エミール・ブレ
イエもその著 「現代哲学入門」 のうちで、
本書について次のように評している.
「最近セシュエーが公けにした『分裂病
の少女の手記』 という驚くべき記録をお読
みになってごらんなさい。 精神分裂病患者
が送っている, さまざまな闘争と口に出さ
ない悩みとはかない喜びとの生活がお分り
になります。」
カバー 状態良好です。