狼 : その生態と歴史 改訂4版.

￥1,500

• 著者 平岩米吉 著
• 出版社 動物文学会
• 刊行年 昭和６１年１０月
• ページ数 308p
• サイズ 22cm
• ISBN 426216621X
• 状態 良好
• 解説 改訂６版　 函　 帯付　 函ヤケ無し　帯ヤケ無し　線引き無し書き込み無し　保存状態良好です。
  
  狼について、百科事典風にまとめた「資料」ではなく、「あまりに詳しすぎる狼エッセイ」と分類すべきか。なんとなく「私家版風」の文体で若干読みにくいけれど（注意・現在は新装版あり。そちらがどうなっているのかは調べておりません。）狼について、その生態について、詳細に語った書籍。著者は狼を実際に飼ってもいたらしく（狼と暮らしていた、と書くべきか・・・）愛犬ならぬ「愛狼」との２ショット写真などは、動物好きには羨ましい限り。
  
  現代人にとっての狼は、山を駆け巡る恐ろしい獣、というよりも動物園で見る絶滅危惧種、そんなイメージのほうが強いのではないか。よって、ヨーロッパにおける狼被害や悪魔憑き、人狼伝説を中心とした禍々しさよりも、むしろ農耕民族である日本人の目から見た、共存の歴史の方が親しみ深くなってきたのではないか・・・などと思う。
  送り狼、という言葉の語源となった狼の行動など興味深く、つい頬がゆるむ。
  狼についての間違いがあれば柳田国男をもバッサリ批判。
  狼の鳴き声を「アオー」というソプラノから始まり低音で結ぶ「朗々たる美声」・・・などと表現する。いかに狼を好きであるか、が文章から透けてみえるのが微笑ましくて、読後感も良い。良書。

マスターID：1532007
初版刊行年：1983.6
ISBN：426216621X