小松靖彦・田中祐輔 編著、文学通信、2025、368、A5
日本と中国の翻訳から、新たな翻訳論を拓く──。
Google翻訳、ChatGPT、DeepLなど、機械翻訳が生活の一部となった現代。しかし、「翻訳」とは本当に単なる言語の変換作業にとどまるのでしょうか。
本書は、日中間における翻訳・翻案・アダプテーションの歴史と実践に焦点を当て、文学・宗教研究・言語学・日本語教育といった多様な視点から翻訳という営みを読み解く試みです。
●本書のポイント
(1)日本と中国のあいだで行われてきた翻訳・翻案・アダプテーションの事例を日中の研究者総勢14名が精査。
(2)翻訳における「文字」の役割に注目し、日中翻訳特有の問題と可能性を浮かび上がらせる。
(3)これまで西欧語を中心に構築されてきた翻訳理論が見落としてきたものに光をあて、同じ「文字」を共有する日中の文脈から新たな翻訳論の構築を目指します。
翻訳研究に関心をもつ研究者・学生はもちろん、翻訳や多言語社会に関心をもつすべての読者におすすめの一冊です。
●本書で扱う主要テーマ
【『萬葉集』の中国語訳/黒岩涙香訳『野の花』/鈴木大拙『支那仏教印象記』/菊池寛「昭和の軍神 西住戦車長伝」/『東征伝絵巻』『玄奘三蔵絵』/謝六逸の翻訳と翻案/『新撰万葉集』/黄遵憲と周作人/漢文訓読体/中日漢字単語の翻訳/中国の日本語教育と翻訳】