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世界文化社　２５４頁　初版カバー美

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１刷　 カバー　 帯付　 カバーヤケ無し　帯ヤケ無し　本体三方ヤケ無し　線引き無し　書き込み無し　保存状態良好です。

白洲正子の世界でもある「武相荘」を訪ねたことがある。
　その昔、鶴川村と呼ばれたところも今では東京都町田市となり、カントリージェントルマンを自任した白洲次郎の風景などはどこにもなかった。
　小田急の駅から整備された道路を歩くこと１０分ほど、パステルカラーの住宅が並んでいる小道の奥に写真で見慣れた長屋門があった。入場料１，０００円也を払って入っていくと、さして広くも無い邸と庭には６０代前後のご婦人方の群。庭先の竹やぶからも明るい色調の住宅が見え隠れしている。

　古い農家を買い取って改築した住居跡には白洲夫妻愛用の品々が所狭しと並べてあったが、本書にも紹介してあった「市女笠」ののれんが色あせてぶら下がっているのが悲しかった。
　唯一、白洲邸らしさが残っていたのは白洲正子の書斎と格子窓から見える羊歯ぐらいだろうか。

　展示品の中に白洲次郎の遺言書があったが、葬式も不要、戒名も不要という白洲次郎の遺言どおり「武相荘」も未練残さず主とともに魂は昇天している。作品も邸もひとつの物ではあるが、やはり、そこに住まう人、使う人の思い入れがあって本物と感じた。