¥4,500
宮地徹 編
、杏林書院
、1980-5
、951p
改訂第12版序
この本が世に出てから、20年という年月がすぎた。 その間に少しずつ改訂をしたが, 今回は執
筆者もかえて, 全面的に改訂をして, 病理学の進歩をとりいれ、この本を常用して下さる方々に
こたえることにした。いずれも忙しい第一線に立つ執筆者なので、 随分な御無理も願ったが, 快
く応じて頂いたことを, 編者としては心から感謝している.
痛恨にたえないのは,著者の一人東京慈恵会医科大学学長 樋口一成先生が8月26日に急逝さ
れたことである. 先生は卵巣腫瘍の第一人者として自他とも認めておられたが,この本の出版を
心から楽みにしておられたのに、 ごらん頂けなくなったのは,かえすがえすも残念でならない。
あれほど御多忙で, 多方面にわたって大活躍をしておられた先生の安らかなおねむりを願ってい
る.
改訂のたびに厚い本になるのはやむをえない点もあるので,従来とは異なって漢字を多く用い
るように心がけた. そして, この本が一般の病理学の本とは異なって, 学生諸君のみならず, 卒
後の方々が常に座右において愛用して下さるので、できる限り丈夫な製本をお願いして、 目次も
索引も詳しく,そして図の索引も月並みでないものとした。但し,欧文索引は殆ど英文に限るこ
とにしてあまり詳しいものとはしなかった。 本文も, 1,500にをこえる図も、それぞれの章が独
立した形としたのは, 近い改訂をできやすいようにと考えたからである。
さらに重要なことは,「良書は安くなければならない」という極めて単純な, しかし時世に逆
行する発想から、無理をお願いしてこの価格をきめた. 快く承諾して頂いた太田社長、心身をす
りへらしてこの本の形を整えて下さった市村氏に、 執筆者とともに深い感謝を捧げたい.
1975年11月
宮地徹
第3刷 ビニールカバー 函(少ヤケ)蔵書印