「旅の冒険　　マルセル・ブリヨン短編集」の検索結果

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初版　 カバー付　　帯欠　 カバーヤケ無　本体三方ヤケ無し　線引き無し　書き込み無し　保存状態良好です。

２０世紀に活躍したフランスの幻想小説作家ブリヨンの代表中短編集から５編を訳出した傑作集です。本書収録の５つの異なるタイプの異世界には著者の愛着と思い入れが感じられるせいもあってか何れもそれ程の怖さは無く、中には怪異現象の意味や著者の意図が不明で難解な部分もありますが、それでも何処か心惹かれる現世と異世界の境界で迷う人々の想念が漂う妖しい魅力があると思います。また、短い頁数なので異世界の全貌を十分に捉え切れないまま何時の間にか物語が終わってしまった印象があり、もう少し続きが読みたかったという心残りの思いを感じました。けれど著者は既に１９８４年に８９歳でお亡くなりになられており、残念ながらそれぞれの続編を読む事は叶いませんので、せめてこれからも幾度か読み返して著者が作品に込めた想いについて考えて行きたいと思います。
『深更の途中下車地』わたしが深夜気まぐれに列車を降りて立ち寄った町は奇妙奇天烈な「正面のない町」だった。静謐な町に魅せられ何時しか寡黙な少女と道連れになった男が、次に饒舌な訳知り顔の男と出会って急に不機嫌になったのは彼の人嫌いな性格故でしょう。後半少女に訪れる不思議な運命の意味はかなり難解です。『恐怖の元帥』過去に幾度も戦死を繰り返して来たと語る兵士に連れられ、彼が現在仕えている恐怖の元帥と対面したわたしは意外な光景を目撃するのだった。著者は荒々しい戦争の合間に休息を取る元帥のぐったりとした疲労感を表現したかったのでしょうか。『火のソナタ』嘗てヨーロッパの国々で大人気を博した寄席劇場の出し物「火のソナタ」をヴァイオリン奏者の男が二度と奏かなくなった戦慄すべき理由とは？本書の中で一番解り易い禍々しい魅力を放つ怪奇譚です。『旅の冒険』旅人がふと出会った騎馬の男の親切な誘いに不吉な物を感じ断るが、やがて馬車に同乗したジプシー女が読む本の物語を聞く内に無慈悲な