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A4版　129頁　並本

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いなせな
東京は江戸の面影を残した町である。下町の表通りを一つはずれ
て、細い路地に迷い込むと、思いがけないところで江戸情緒と出会
うことができる。庶民的な町並みと人懐っこい人々。江戸っ子の
住む町は、奇妙な懐かしさと居心地のよさを与えてくれる。
ふと足を止めると、どこからか槌音が
聞こえてくる。そう、東京は職人の町
でもある。浅草の町を、深川の通りを、
かつては半綴て、肩で風を切っていた
職人たち
であろう職人たち。江戸時代に花開いた元禄文化、文化文政の頃の
町人文化を影で支えていたのは、粋でいなせな職人たちだった。
時は流れ、江戸が東京になり、世界に冠たる大都市になった現在、
下町から多くの職人がいなくなってしまった。
しかし、少数だが、江戸の職人たちの技術と伝統を受け継いだ、平
成の江戸職人たちが残っている。しかも昔ながらの手づくりの方法
て、質の高い仕事を続けている。そんな職人さんの仕事場に江戸を
探しに行った。
江戸職人粋のわざ