¥810
、東京新聞
、1975年
、172p
、24×25cm
あいさつ
若くして渡米、アメリカ社会に同化しつつ国際的画家として活
躍した国吉康雄は, 20世紀前半のアメリカを代表する画家とし
て,最もよく理解され深い共感を与えられております。 その作品
の中にうかがわれるアメリカ市民生活への, そして人間そのもの
に対する愛情は,彼の身内を流れる日本人の血と共鳴し, 深々と
ロマンのひびきを奏でており,その作品に脈打つ孤独感と哀愁感
は,われわれの心と目に, 忘れていた生命のぬくもりを感じさせ
てくれます。
ここに国吉芸術の集大成として, 初期より晩年に至る油彩, カ
セイン, デッサン, 版画による 「国吉康雄展」 を開催し得ますと
とは,われわれの大きな喜びであります。
なお本展は本年2月より1ヵ年にわたり, アメリカ, 日本, カ
ナダの順で開催される3国巡回展として組織されたものでありま
す。本展実現のために努力を惜しまれなかったサラ・M・ 国吉未
亡人, テキサス大学美術館長ドナルド・B・グッドール博士をは
じめ関係各位に深甚なる謝意を表明いたします。
1975年9月
表紙少ヤケ 1975年9月 ブリヂストン美術館にて開催図録