橿原公苑大和歴史館 [編]、大和歴史館友史会、1965-10、28p、26cm
趣旨
大和歴史館は県立の博物館施設で、奈良県下の出土物を主に展示している施設
であります。 今まで古代文化の中心である大和の特性を、単一の遺物だけで展示
する企画がなかったのですが, 今回は全国に誇りうる大和出土の埴輪を中心に展
示することにしました。
全国の埴輪を集めて比較しても、大和の特性をつかむことはできますが,大和
のものばかり集めることによっても,より明確に大和的なものが浮彫りされ古代
文化の水準が明らかにされるのではないかと思います。 長い間土に埋もれていた
遺産の中に、わたくしたちの祖先の力強い生活力と創造力をつかみとって,これ
ら埴輪の象形を通じて祖先の生活, 思想などを復元し、現在につながる何物かを
発掘してほしいと思います。
また,全然性格は別ですが, 秘境といわれた十津川郷も, ダム開発による新し
い時代の波がうちよせて, 伝統的な山村の生活を偲ばせるいろいろな民具類がな
くなつていく現状です。全国的に民俗資料がなくなっていく時期に,今日問題に
されないものも, 将来重要民俗資料として再認識される日が必ずくるものと思い
ます。 これに対しなんらかの施設, 団体において保存措置をこうじておくべきで
はないかと考え, 一石を投ずる意味で、本館の考古資料館的性格とは異質のもの
ではありますが,あえて企画した次第であります。
今回の企画から祖先の生活と文化をうかがい知るだけでなく国民の遺産として
の文化財のあり方などにも関心をお示し願いたく思います。
大和歴史館
少ヤケ