jimbo

『神保町公式ガイドVol.7』

『神保町公式ガイドVol.7』

神田古書店連盟

〝世界一の本の街〟を形成する神田古書店連盟と、神保町の公式タウンサイト「ナビブラ神保町」を運営する風讃社の、地元強力タッグで制作する『神保町公式ガイド』。
 Vol.7のテーマは、ズバリ「神保町で本を探す!」。神保町は全国的にも有名な大型書店があり、また150軒以上の古書店がひしめく活字文化集積の街です。

本を探す人の目的別に、本の探し方や「私はコレで古書にハマりました!」など、ときに新刊書店や古書店を巡りながら、お目当ての本を探すヒント(のようなもの)を開陳します。

 また、本誌自慢の〝古書店主の顔が見える〟古書店紹介では、初心者から古書マニアの方々にも役立つ〝探書キーワード〟を掲載──これで各古書店の得意とするジャンルや品揃えがわかります。

もちろん今回も、神保町を舞台にした人気ラジオドラマ『NISSAN あ、安部礼司』とのコラボ特集でグルメを紹介。第3回を迎える「本にまつわる俳句大会」もあり、スミからスミまで「本の情報」満載の神保町ガイドです。今年もぜひご期待ください!
(※創刊号は、第18回国際ブックフェア内で実施された「日本編集制作大賞」にてグランプリを受賞致しました)


<発行予定日>10月12日(水)
<仕様>A4判・並製(無線綴じ)・120ページ(予定)
<発行>神田古書店連盟 <発売>メディアパル <制作>風讃社「ナビブラ神保町」編集部
<予価>1,296円(税込) ※全国の大型書店またはAmazonなどのネット書店で販売

jimbo

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

nakunattara

ありそうでなかった業界3者の「車座」会議

ありそうでなかった業界3者の「車座」会議

ブックオカ実行委員/忘羊社代表 藤村興晴

 「日本の取次システムは、すでに崩壊しているんですよ」。
 わが国の出版流通を支えてきた仕組み。本の売上が下降しつづける今日、それがもう息も絶え絶えだという程度なら話はわかる。だが、「すでに手遅れ!」というのでは、話にならんじゃないか―—。

 この本は昨年(2015)11月、2日間にわたって福岡市で開催した「車座トーク ~本と本屋の未来を語ろう」の模様を中心に収録したものだ。公開座談会形式で、出席したのは私のような編集者や書店員、そして本の流通(供給)の根幹を担う取次の社員、総勢12名。冒頭のセリフは、初っぱなで飛び出した衝撃発言だ。書名は、座談に参加してくれた大阪の書店さんが、昔、お客さんから言われた言葉で、彼は街の本屋の存在意義に気づかされたのだという。

 この座談会を主催したのはわれわれ福岡の出版・書店業界有志で2006年に立ち上げた「ブックオカ」。「ブック」と「フクオカ」をかけた造語で、毎年秋の1カ月にわたり、新刊書店を横断する文庫フェアや作家のトークショーなど様々なイベントを催してきた。メインイベントは市内の並木道を舞台にした青空古本フリマ。今では福岡の秋の風物詩として定着し、掘り出し物の古書を求めて大勢の人がつめかける。

 世間では長らく“本離れ”が喧伝されているけれど、我々の活動の根底には、「本が売れないのを読者のせいにする前に、まだできることがあるんじゃないの?」という自戒のような思いがあった。手弁当でこうした祭りを主催し続けるのは正直しんどかったが、「読者は確実に存在する」ことを実感できたし、何よりわれわれ自身が、自らの拠って立つ、本というメディアの力を再認識できた。

 だがこの10年、わが福岡でも書店の閉店・撤退はとどまらず、戦線は後退するばかり。本屋を続けたい、本屋を始めたいという人はいるのに、その思いを後押しするどころか、どんどんジリ貧になっていくシステム。どこにその「病巣」があるのか、膝を突き合わせてマジメに考えたほうがいいんじゃないか。そして、これを本の形にして、本屋の可能性を信じる人たちに向けた情報満載のテキストにしてみたらどうだろう―—。そんな思いから、この座談会を企画したのだった。

 とはいっても、我々の業界には長い歴史を経てつくり上げられた複雑な制度や不文律が多く、何を論点にすればいいのか、最初は見当がつかなかった。そこでいっそ、この業界の旧弊についての「わからなさ」を率直にぶつけあってみることから始めてはどうかということに思い至った。当日聞き足りなかったポイントは各地での追加取材で補った。

 なおこの座談会では、業界のグチや批判を言い募るのではなく、あくまで「未来」のためにこの場を持つのだということを意識した。いま、いくらか覚悟めいた思いとして抱いているのは、新しい仕組みを自分たちで一から作っていかなければならないのだということ。本書の最後には、われわれなりのマニフェストも掲載している。実際、本書の出版後、同じような思いを抱えている全国の読者から多くのエールを頂いた。やっぱり、諦めるのはまだ早いのだ。

                             ブックオカ実行委員/忘羊社代表 藤村興晴



nakunattara
『本屋がなくなったら、困るじゃないか』 ブックオカ 編
西日本新聞社刊 本体1,800円+税  好評発売中!
http://www.nishinippon.co.jp/book/topics/2016/07/-11.shtml

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

no-image

2016年8月25日 第209号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
     。.☆.:* その209・8月25日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国930書店参加、データ約600万点掲載
の古書籍データベースです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.『雑学の冒険』            礫川 全次
2.『グロテスク』群像          市道 和豊

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━━━━━━【自著を語る(169)】━━━━━━━━━━━

『雑学の冒険 国会図書館にない100冊の本』


                        礫川 全次

 高校生のころに古本屋通いを始め、すでに半世紀近く経ちます。
この間に入手した古書、手放した古書の思い出は尽きませんが、最
も思い出深いのは、村岡素一郎『史疑 徳川家康事蹟』(民友社、
一九〇二)という本です。この本を読んでいて、ピンと来るものが
あり、『史疑 幻の家康論』(批評社、一九九四)という本を書き
上げました。一冊の古書のおかげで、一冊の新著を世に送ることが
できたわけで、物書き冥利に尽きる古書でした。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2864


『雑学の冒険 国会図書館にない100冊の本』礫川 全次 著
批評社刊 価格 1,700円+税 好評発売中! 
http://www.hihyosya.co.jp/ISBN978-4-8265-0644-1.html



━━━━━━━━━━【自著を語る(170)】━━━━━━━━━━━



『グロテスク』群像


                       市道 和豊

 昭和初期、エログロ雑誌ひいてはエログロの風潮そのものをリー
ドしたのは、『グロテスク』だった。主宰は梅原北明、逮捕・入獄
歴では西の横綱・宮武外骨をしのぐと言われた男である。大正後期
に「デカメロン」「ロシア大革命史」で出版界にデビューした北明
は左翼傾向の雑誌『文芸市場』とエログロ雑誌『変態資料』を発刊。
2つの傾向を使い分けながら、そのどちらでも検閲当局と華々しく
ぶつかった。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2847


『与太雑誌『グロテスク』』 市道 和豊 著
自費出版 頒布価格 2,000円(税・送料込)
申込み先ページ
http://www.kosho.ne.jp/contact.html

━━━━━━━━━━【映画公開のお知らせ】━━━━━━━━━


映画
『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』


■ストーリー
ヘミングウェイ、フィッツジェラルドなど数々の世界的作家を見出
した実在の名編集者パーキンズ。ある日、彼の元に、無名の若手作
家トマス・ウルフの原稿が持ち込まれる。


続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2873



■キャスト
コリン・ファース、ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン

■公開情報
10月7日、TOHOシネマズ シャンテ(先行)ほか全国公開
原作:「名編集者パーキンズ」A・スコット・バーグ
   (鈴木主税訳、草思社刊)
提供:KADOKAWA、ロングライド
配給:ロングライド
ホームページ http://best-seller.jp/


━━━━━━━━━━━━【ご案内】━━━━━━━━━━━━━

『これからの本屋講座 特別篇(全5回)』 開催のお知らせ

「これからの本屋講座」は、広い意味での「本」を扱う人=「本屋」
をめざす人を対象に、本をめぐる環境についてレクチャーしながら、
参加者それぞれ個別の「本屋」のイメージを具体的な事例として、
実現に向けてプレゼンテーションを繰り返していただく、という実
践的な講座です。



第1回 新刊書店とその流通について知る
課題図書『本屋がなくなったら、困るじゃないか』


ゲスト:辻山良雄(Title)・星野渉(文化通信編集長)
日時: 10月2日(日)17時~20時

詳細は下記をご覧下さい。
http://bukatsu-do.jp/?eventschool=honya-special  


━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━

『本屋がなくなったら、困るじゃないか』 ブックオカ 編
西日本新聞社刊 本体1,800円+税  好評発売中!
http://www.nishinippon.co.jp/book/topics/2016/07/-11.shtml

『神保町公式ガイド Vol.7』 10月12日(水)発売予定!
発行:神田古書店連盟 発売:メディアパル
定価:1,234円(税込)

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


8月~9月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=19


┌─────────────────────────┐
 次回は2016年9月中旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の全国の古書店に ☆*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner

==============================


日本の古本屋メールマガジンその209 2016.8.25


【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/


【発行者】
 広報部:殿木祐介
編集長:藤原栄志郎


==============================

kokkai

『雑学の冒険 国会図書館にない100冊の本』

『雑学の冒険 国会図書館にない100冊の本』

礫川 全次

 高校生のころに古本屋通いを始め、すでに半世紀近く経ちます。この間に入手した古書、手放した古書の思い出は尽きませんが、最も思い出深いのは、村岡素一郎『史疑 徳川家康事蹟』(民友社、一九〇二)という本です。この本を読んでいて、ピンと来るものがあり、『史疑 幻の家康論』(批評社、一九九四)という本を書き上げました。一冊の古書のおかげで、一冊の新著を世に送ることができたわけで、物書き冥利に尽きる古書でした。

 最近、蔵書削減の必要に迫られ、雑多な蔵書を処分しているうちに、ひとつのテーマが浮かびました。「国会図書館にない100冊の本」。国会図書館にない本というのは、意外にあるもので、すぐに130冊ほどの「候補」を選び出すことができました。この段階で書肆に相談したところ、『雑学の冒険-国会図書館にない100冊の本』として、ゴーサインが出ました。これが、本年2月ごろだったと思います。

 まず、紹介する価値のありそうなものを100冊選びました。うち98冊は礫川の蔵書、1冊は影印の形で読み、1冊は図書館で閲覧しました。これら100冊の表紙などを図像で紹介したあと、内容について短く解説してゆきました。これを第三章としてメインとし、第一章、第二章で、どういう本が国会図書館にないのか、どうして国会図書館にない本が生じるのかについて考察しました。第四章は、「書物を愛する方々へのメッセージ」としました。古書好きの皆様、古書業界で働く皆さまへのメッセージも含まれていますので、参照頂ければ幸いです。

 この本を出したあと、100冊のうち、最も貴重な本はどれですか、とか、最も愛着のある本はどれですか、などと聞かれることがありました。どれが、とれが最も貴重なのかは、私には判断がつきません。ただ、ここで紹介した100冊の半分以上は、100円から300円の古書価で買い求めたものです。最も愛着のある本は、答えることができます。それは、菓子商業新報編『東京都 菓子小売店名鑑』(菓子新報社、一九五六)です。これほどマニアックな本、これほど読んでいて飽きない本というのは、そうザラにはないと確信しています。



kokkai
『雑学の冒険 国会図書館にない100冊の本』礫川 全次 著
批評社刊 価格 1,700円+税 好評発売中! 
http://www.hihyosya.co.jp/ISBN978-4-8265-0644-1.html

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

guro

『グロテスク』群像

『グロテスク』群像

市道 和豊

 昭和初期、エログロ雑誌ひいてはエログロの風潮そのものをリードしたのは、『グロテスク』だった。主宰は梅原北明、逮捕・入獄歴では西の横綱・宮武外骨をしのぐと言われた男である。大正後期に「デカメロン」「ロシア大革命史」で出版界にデビューした北明は左翼傾向の雑誌『文芸市場』とエログロ雑誌『変態資料』を発刊。2つの傾向を使い分けながら、そのどちらでも検閲当局と華々しくぶつかった。しまいには中国・上海から指令をだして日本で秘密出版、昭和3年夏東京に戻ったところを逮捕、2ヶ月後保釈された。その直後・昭和3年11月号が『グロテスク』の創刊であった。

 私と『グロテスク』の出会いは古く、古本漁りをしていた頃何度も出会っていたが、意識して探し始めたのは『グロテスク』に渋谷修の絵を発見してからであった。謎の前衛画家・渋谷修の作品など、大正・昭和の絵画専門雑誌などを見てもそう簡単には見つからないのだが、それが『グロテスク』のある号を見たら、てんこ盛り状態だった。そうなれば『グロテスク』を片っ端から、出来れば全てを見つけなければならなくなった。しかし、探してみると『グロテスク』は簡単には見つからない。昭和3・4年はともかく、5年・6年のものなど、存在するものやらどうやら、雲を掴むような話。何軒もの古本屋さんの協力の結果、目下のところ20冊ということになった。

 そうして出来上がったのがこの『与太雑誌・グロテスク』である。梅原北明・渋谷修はもちろんのこと、前衛画家・酒井潔や峰岸義一を知りたい方にもご一読をお勧めする。

 私のような素人の美術愛好家にとっては、美術館・博物館などは敷居が高い。頼りになるのは古本屋さんである。各種の貴重な資料をどこからか探し出してきてくれる。この本のそこここで古本屋さんの実力をご覧いただけるだろう。いつもながら、感謝。



guro
『与太雑誌・グロテスク』 市道和豊 著 自費出版

B5判 91頁(一部色刷り有)
頒布価格 2,000円(税・送料込)

代金(郵便局の定額為替・図書券なども可。端数は郵便切手も可)を添えて、
下記まで封書で送って頂ければ、 すぐに発送いたします。
住所・郵便番号・お名前を正確にお書きください。

663-8177 兵庫県西宮市甲子園七番町17-7-313  市道 和豊

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

best

『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』 公開のお知らせ

『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』 公開のお知らせ

■ストーリー
ヘミングウェイ、フィッツジェラルドなど数々の世界的作家を見出した実在の名編集者パーキンズ。ある日、彼の元に、無名の若手作家トマス・ウルフの原稿が持ち込まれる。一目で彼の才能を見抜いたパーキンズは、編集者として、そして最高の友として彼を支え、処女作「天使よ故郷を見よ」をベストセラーへと導く。しかし、成功の喜びも束の間、ウルフはパーキンズ無しでは作品を書けないという悪評に怒り、二人の関係に暗雲が立ち込める。果たして、立場を超えて生まれた二人の友情の行く末はー?

■翻訳家・柴田元幸 作品解説
編集者パーキンズとその時代
柴田元幸(アメリカ文学研究者・翻訳者)
http://best-seller.jp/contents/interpretation.html



■キャスト
コリン・ファース『キングスマン』
ジュード・ロウ『シャーロック・ホームズ』
ニコール・キッドマン『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』

ローラ・リニー『ラブ・アクチュアリー』
ガイ・ピアース『アイアンマン3』、他


■スタッフ
監督:マイケル・グランデージ(初監督)
脚本:ジョン・ローガン『007 スペクター』


■公開日
10月7日、TOHOシネマズ シャンテ(先行)ほか全国公開

原作:「名編集者パーキンズ」A・スコット・バーグ(鈴木主税訳、草思社刊)

字幕協力:柴田元幸、日本語字幕:寺尾 次郎
提供:KADOKAWA、ロングライド 配給:ロングライド
© GENIUS FILM PRODUCTIONS LIMITED 2015. ALL RIGHTS RESERVED.


ホームページ http://best-seller.jp/



9月号のメルマガで5組10名様招待券プレゼント

best

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

no-image

2016年7月25日 第208号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
     。.☆.:* その208・7月25日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国930書店参加、データ約600万点掲載
の古書籍データベースです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.古本屋ツアー・イン・ジャパンの2016年上半期活動報告
                古本屋ツーリスト 小山力也

2.『まっ直ぐに本を売る–ラディカルな出版「直取引」の方法』
                        石橋毅史

3.「書店は面倒くさい。民主主義は面倒くさい。されど、さればこそ」
                        福嶋 聡

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━━━【古本屋ツアー・イン・ジャパン】━━━━━━━



古本屋ツアー・イン・ジャパンの2016年上半期活動報告

                  古本屋ツーリスト 小山力也



古本神のひとりである岡崎武志氏と力を合わせ、この三月に「古本
屋写真集」を上梓出来たのは、過分な幸甚であった。年始早々から
ほぼその制作に全力を注ぎ、己の職業でもないのに、古本屋に身も
心も捧げるような三ヶ月間…だが実はその裏で、今年で九年目に突
入した古本屋ツーリスト人生を揺さぶりまくる大プロジェクトも、
すでにその歯車をギクリギクリと動かし始めていた…。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2832

『古本屋ツアー・イン・ジャパン』 2008年5月からスタートした、
日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す
無謀なブログ。「フォニャルフ」の屋号で古本販売に従事すること
も。ブログ記事を厳選しまとめた『古本屋ツアー・イン・ジャパン
(原書房)』と、神保町についてまとめた『古本屋ツアー・イン・
神保町』さらには首都圏沿線の古本屋約700軒をガイドした『古本屋
ツアー・イン・首都圏沿線』(共に本の雑誌社)、さらにさらに「古
本屋ツアー・イン・ジャパン それから(原書房)」が発売中。共編
に『野呂邦暢古本屋写真集』があり、同著と兄弟編の岡崎武志氏との
共著『古本屋写真集』(共に盛林堂書房)も発売中。とにかく派手に
どこまでも古本屋にまみれ、『全国古本屋全集』を作る野望に着々と
前進しながらて生きている。

http://furuhonya-tour.seesaa.net/

━━━━━━━━━━【自著を語る(167)】━━━━━━━━━━━



『まっ直ぐに本を売る――ラディカルな出版「直取引」の方法』

                           石橋毅史

 
             
これから出版社や書店を始める人。本に関わる仕事をする可能性が
ある人。 まずは、そうした人たちに知ってほしいと願いながら書
きました。
新本の流通に問題があると感じている人。
本が生まれ、読者に届くまでの過程に関心のある人。
そうした人たちにも、読んでほしいと思っています。
2001年に創業した出版社・トランスビューを主な取材対象とし、
「出版社―書店間の直取引」について、その方法をできるだけ詳しく、
わかりやすく紹介することを目指しました。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2840


『まっ直ぐに本を売る』 石橋 毅史 著
苦楽堂 定価:1800円+税 好評発売中!
http://kurakudo.co.jp/



━━━━━━━━━━【自著を語る(168)】━━━━━━━━━━━

「書店は面倒くさい。民主主義は面倒くさい。されど、さればこそ」

                           福嶋 聡


「嫌韓」「呆韓」「誅韓」・・・。ある日気がつくと、店の書棚が
隣国を誹謗するタイトルで溢れている。一方で、日本がどれだけ優
れているかを自画自賛する本が立ち並ぶ。相手を貶めて自分を優位
に見せるという、最もみっともない驕りの姿である。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2845


『書店と民主主義』 福嶋 聡 著
人文書院 定価:1,600円+税 好評発売中!
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b222590.html


━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━



『雑学の冒険 国会図書館にない100冊の本』礫川 全次 著
批評社刊 価格 1,700円+税 好評発売中! 
http://www.hihyosya.co.jp/ISBN978-4-8265-0644-1.html


『与太雑誌『グロテスク』』 市道 和豊 著
自費出版 頒布価格 2,000円(税・送料込)
申込み先ページ
http://www.kosho.ne.jp/contact.html


━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


8月~9月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=19

┌─────────────────────────┐
 次回は2016年8月中旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の全国の古書店に ☆*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner


==============================


日本の古本屋メールマガジンその208 2016.7.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:殿木祐介
編集長:藤原栄志郎


==============================

uru

『まっ直ぐに本を売る――ラディカルな出版「直取引」の方法』(苦楽堂)

『まっ直ぐに本を売る――ラディカルな出版「直取引」の方法』(苦楽堂) 

石橋毅史

 これから出版社や書店を始める人。本に関わる仕事をする可能性がある人。
 まずは、そうした人たちに知ってほしいと願いながら書きました。
新本の流通に問題があると感じている人。
本が生まれ、読者に届くまでの過程に関心のある人。
そうした人たちにも、読んでほしいと思っています。
2001年に創業した出版社・トランスビューを主な取材対象とし、「出版社―書店間の直取引」について、その方法をできるだけ詳しく、わかりやすく紹介することを目指しました。

直取引。馴染みのない人が多いと思います。(ちょくとりひき)と読みます。
なぜ、単行本1冊を費やして伝える必要があるのか?
多くの出版社は、「取次(とりつぎ)」と呼ばれる出版専門の卸業者を通じて、自社の本を書店へ送ります。書店の仕入れ代金も、取次が回収しています。物流と精算を頼めることは、とても便利だからです。
長所がある以上、どうしても短所が発生します。
短所とは、たとえば「書店のうけとれる利益が少ない」「書店が注文してもなかなか届かない」「書店が望む部数が入らない」といったことです。
書店にとってのマイナスばかりを挙げました。それがなぜ、出版社にとってのマイナスになるのか? 書店がじゅうぶんな条件の下で営業できなければ、それによって書店が世の中から減り続けてしまったら、全国各地で1冊1冊、読者に売ってくれる人がいなくなってしまうからです。

トランスビューは、この問題の解決を前提にした取引条件を設定し、取次を使わない流通を基本としてきました。書店の利益率を取次から仕入れるよりも10%ほど上げ、書店から受けた注文はすべて要望どおりの冊数で送っています。しかも、すべてを当日のうちに配送しています。
トランスビューは、なぜそうした流通を15年にわたって実現できているのか?
小さな出版社だからできるのだ、という意見があります。たしかにトランスビューは、常に2、3人の人員で運営しており、小回りの良さを活かしているところがあります。

だが、小さな個人や組織だからこそ実現できるのだとしたら、それは「誰にでもできる」という可能性をもつことになります。一人ひとりの「私」や「あなた」の実行の集合が、「出版流通」という巨大な問題の解決につながるのだとしたら、なかなか愉快なことです。
あくまでも「有効な方法のひとつ」なのだと思います。
自分はどうするのか? どのような方法をもって本の世界と関わるのか?
その答えを、読んでくれた一人ひとりが見つけてくれることを楽しみにしています。



uru
『まっ直ぐに本を売る』 石橋 毅史 著
苦楽堂 定価:1800円+税 好評発売中!
http://kurakudo.co.jp/

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

no-image

古本屋ツアー・イン・ジャパンの2016年上半期活動報告

古本屋ツアー・イン・ジャパンの2016年上半期活動報告

古本屋ツーリスト 小山力也

 古本神のひとりである岡崎武志氏と力を合わせ、この三月に「古本屋写真集」を上梓出来たのは、過分な幸甚であった。年始早々からほぼその制作に全力を注ぎ、己の職業でもないのに、古本屋に身も心も捧げるような三ヶ月間…だが実はその裏で、今年で九年目に突入した古本屋ツーリスト人生を揺さぶりまくる大プロジェクトも、すでにその歯車をギクリギクリと動かし始めていた…。

 そのプロジェクトとは、『未知の古本屋大陸進出』とも言える、本格的な関西方面古本屋ツアーである。私は所詮関東の人間。ブログタイトルに『古本屋ツアー・イン・ジャパン』と名付け、全国の古本屋さんに足跡を残しつつあると言っても、遠い地になればなるほどその数はたかが知れているものとなり、目的の全店踏破にはいつたどり着くのやら、まったく持って不明なのである。今までツアー出来た関西方面のお店と言えば、仕事でミュージシャンの全国ツアーに帯同したついでに訪れたもの、私的な旅行で訪れたもの、突発的な日帰りで訪れたものなどの、点としてのツアー先が徐々に徐々にジワジワと、地道にその数を増やして行ったものに過ぎないのである。だが今年の一月から、そんなチンタラしたツアーは、全面的に不可能となってしまった。

原因は、去年書き上げた本の雑誌社「古本屋ツアー・イン・首都圏沿線」にある。これと同じような本を、関西編で作ってみるのはどうだろう…作ったら面白いんじゃないか…作れないか?…いや、作るのだ。というわけでもう決まってます、と厳命されたのである。関西…そこにお店はいったい何軒あるのだろうか? 京都…大阪…神戸…主だったお店を合わせるだけでも、優に二百店は越えるだろう。それをこれからたった一人で…土地鑑ほぼゼロのまま…まるで狂気の沙汰ではないか。

 かくてあまりに孤独な、関西の古本屋さんと闘う日々がなし崩しに始まった。本来ならば、関西に仮の居を定め、腰を落ち着けツアーするのが一番正しいやり方であろうが、時間と様々な大人の事情が、さすがにそれを許さない。なので三月から、夜行バスで関西に乗り込み、ひと月の三分の一~半分ほどをあちらで過ごすことを繰り返している。それは予想以上に刺激的で楽しく、そして確実に無茶で疲弊する、大変に過酷な日々である。普段のツアーとは違う、見知らぬ土地で旅人として過ごす逗留。しかもそのほとんどを、古本屋を訪ねることに傾注する、取材という名の異常で情熱的なたったひとりのさすらい。こんなことは、生まれて初めての経験である。もちろんすべてのお店を訪ねることは叶わぬが、エトランジェとして己の目で見て歩いた軌跡が、少しでも関西古本屋地図の一端を浮かび上げることになれば、もはや本望である。というわけで、旅はまだ必死に継続中。終わるかどうかも分からぬのだが、本が秋口に出る予定だけは決まっている…ブルブル…。

 さて、半分は関西で過ごしていても、半分はもちろんお馴染みの関東平野で過ごしているのである。それものうのうと羽を休めているわけではなく、古本屋調査を欠かすことは決してない。だが、こちらではほとんどの古本屋さんに行き尽くした感があるので、お店を楽しみつつも古本を買う方に主眼が移され始めている。しかも、気になるお店を見に行くだけではなく、そのお店を組み込んだツアールートを造り出し、買い漁ってしまうのだ…どうも本が急速に増えるわけだ…。神保町では店頭を中心に「日本書房」「原書房」「田村書店」「八木書店」「三茶書房」を組み込んだパトロールルート、中央線では「都丸書店」から「藍書店」を経て「サンカクヤマ」に至るミニルート、それに荻窪「ささま書店」「竹陽書房」から西荻窪へ向かうテクテク徒歩ルート、武蔵小山「九曜書房」から西小山の「ハイカラ横丁」まで歩き東急線網の沿線店を巡るルート、祖師ケ谷大蔵「祖師谷書房」から小田急線を遡り豪徳寺〜経堂とさまようルートなど、その組み合わせは無限に広がって行く。

さらにそこに時々ではあるが、新しいお店もオープンしたりするので、ルートが延伸したりすることも稀ではない。一月は谷根千界隈の出店ラッシュが猛威を振るった。根津の「ひるねこBOOKS」、千駄木の「OLD SCHOOL」、さらに根津・弥生坂途中の植物とともに古本を売る「緑の本棚」、そして少し遅れたが日暮里の骨董店との融合タイプ「古書 鮫の歯」。短い期間に四店ものお店が出来たのは、驚嘆すべき出来事である。国分寺には「ら・ぶかにすと」の跡に「七七舎」が出店し、オープニング当日はチンドン屋が宣伝して回る手法にあっけにとられる。三鷹にはひっそりと「藤子文庫」が出現し、惜しまれながら閉店した伊勢佐木町「なぎさ書房」跡には若く勇気と希望に満ちあふれた「馬燈書房」が開店。明大前の裏通りには出版社の一部を古本屋にした変わり種「七月堂古書部」が。下板橋には倉庫の一部を開放したような「水たま書店」が出来、そこから大山「ぶっくめいと」「銀装堂書店」まで歩き、さらに下赤塚「司書房」まで足を延ばすと、かなり充実した古本屋ルートが浮かび上がるのを新発見とし、子供のように喜ぶ始末である。

 そして生まれるお店があれば、入れ替わるように表舞台から姿を消すお店もある。一月には前述した伊勢佐木町の名店だった「なぎさ書房」と、神保町の鉄道に強い「篠原書店」が、華やかに見送られながら営業の幕を下ろした。五月には鶴見の「閑古堂」が、衝撃の看板落下事件に端を発し閉店。ついに鶴見の純粋な古本屋さんは、「西田書店」ただ一軒になってしまった…。新潟の大型店「ブックス・バザール」突然の閉店も、心に暗い影を落とす悲報であった。さらにもはや下半期に入るが、七月二日には新宿の老舗「昭友社書店」が袋詰めセールと半額セールを賑やかに行い、派手に退場。また門前仲町の「朝日文庫」も通販への移行を決定し、店舗を閉店。そして大阪の最高齢文学青年「青空書房」坂本健一氏が、古本屋として天寿を全うされ、名物店は七月四日に閉店となった。実に実に寂しい限りである。だが悲しんでばかりはいられない。これらのお店から受け継いだ、本や魂を腕と胸に抱いて気持ちを新たにし、さらに深くなる古本屋の森を、これからも歩き続けて行かなければならぬのだ。

 それにしても、やはり未知の古本屋さんばかりである関西は、熱い! おっかなびっくりツアーしながらも、すでに取材は後半戦に突入。新しく移転開店した京都「町家古本はんのき」やオープン間近の大阪・守口市「たられば書店」もどうにかして、貪欲にツアーしたいものである。そんな風に興奮必至の旅の空を繰り返しているのだが、毎日古本屋さん十軒強を生身に浴び続ける反動が、いずれ襲い掛かって来そうで、何だか不安でもある。いや、その前にちゃんと本を完成させなければ…タイトルもまだ決まっていないが、とにかく関西古本屋に血眼中であることを、ここにお伝えしておく次第である。



『古本屋ツアー・イン・ジャパン』 2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ。「フォニャルフ」の屋号で古本販売に従事することも。ブログ記事を厳選しまとめた『古本屋ツアー・イン・ジャパン(原書房)』と、神保町についてまとめた『古本屋ツアー・イン・神保町』さらには首都圏沿線の古本屋約700軒をガイドした『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線』(共に本の雑誌社)、さらにさらに「古本屋ツアー・イン・ジャパン それから(原書房)」が発売中。共編に『野呂邦暢古本屋写真集』があり、同著と兄弟編の岡崎武志氏との共著『古本屋写真集』(共に盛林堂書房)も発売中。とにかく派手にどこまでも古本屋にまみれ、『全国古本屋全集』を作る野望に着々と前進しながらて生きている。
http://furuhonya-tour.seesaa.net/

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

shotento

「書店は面倒くさい。民主主義は面倒くさい。されど、さればこそ」

「書店は面倒くさい。民主主義は面倒くさい。されど、さればこそ」

福嶋 聡

「嫌韓」「呆韓」「誅韓」・・・。ある日気がつくと、店の書棚が隣国を誹謗するタイトルで溢れている。一方で、日本がどれだけ優れているかを自画自賛する本が立ち並ぶ。相手を貶めて自分を優位に見せるという、最もみっともない驕りの姿である。
ぼくはいささが不快になった。大型店の店長として、ぼくは自らの信念に適う本だけを並べておきたいと思うほど潔癖ではなく、非現実的ではない。だが、それにしても、ちょっとひどすぎはしないか?書く著者も、つくる出版社も、並べる書店も、そして買う読者も。

2014年の秋、『NOヘイト!』(ころから)という本が出た。出版界の人たちが「ヘイト本」が量産される業界を自己批判する、小さいけれど転轍機となりうる本だと思い、ぼくはすぐにその本を応援しようと決めた。そして書評を書き、ブックフェア「店長本気の一押し!『NOヘイト!』」を展開した。

年が明けると、そのフェアに対していくつかのクレーム電話がかかってきた。「お前は、韓国や中国などというとんでもない国の肩を持つのか?」「本屋が、そんな偏った思想を客に押し付けていいと思っているのか?」
9月には、安保関連法案強行採決への反対運動の盛り上がり、SERLDsの登場を受けて開催した系列書店のブックフェア「自由と民主主義のための必読書50」が攻撃され、一時撤去を余儀なくされる「事件」もあった。
ぼくは、それらの「書店に対する風当たり」を、「まだまだ書店が存在感を保持している証左だ」と、むしろ歓迎した。クレームは、「向こう傷の誉れ」だと嘯いた。

そして、思った。高橋源一郎がいう「民主主義」の定義=「たくさんの、異なった意見や感覚や習慣を持った人たちが、一つの場所で一緒になっていくシステム」を採用するならば、それぞれの著者がさまざまな主張や思いを籠めた多くの本たちが所狭しと並ぶ書店店頭こそ、民主主義そのものの顕現の場ではないだろうか。

だからぼくは、自分の信念に基づいて、堂々と商品を並べアピールする。一方で、自分の主張と敵対するような書物も、排除するつもりはない。意見を持つことと、他の意見を排除することは違う。民主主義は、限りない議論と説得という、とても面倒くさいシステムなのだ。その面倒くささに耐え切れなくなると、「正義」が他を制圧しようとする。
書店は面倒くさい、民主主義は面倒くさい、だがその面倒臭さゆえにこそ、大切にいとおしまなければならない。『書店と民主主義』というタイトルに、ぼくはそんな思いを託した。



shotento
『書店と民主主義』 福嶋 聡 著
人文書院 定価:1,600円+税 好評発売中!
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b222590.html

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

Just another WordPress site