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電卓60年 - IT技術の源流、電卓からパソコンへ
特集426 電卓60年 - IT技術の源流、電卓からパソコンへ(2024年4月22日〜2024年5月14日 ホーム掲載)
1964(昭和39)年3月18日、シャープ(早川電機工業)がCS-10A「コンペット」発売。世界初のオールトランジスタ・ダイオードによる電子式卓上計算機。日本では日常的に算盤(そろばん)を持ち歩いていたことなどが、マーケットの拡大につながった模様。他の国では計算する道具など持ち歩く習慣がなく、小型化は主に日本で進んだというわけだ。卓上式と呼ぶ割には、約40cm角の箱くらいあって,重さ25kg。10桁の四則演算が主な機能。価格は535,000円で、大卒初任給が約2万円の時代、今に換算すると約600万円の感覚だ。8年後の1972(昭和47)年に、カシオ計算機よりポケットサイズの「カシオミニ」が発売。6桁の四則演算が主な機能であるが、サイズは厚さ4cmの分厚いスマホくらいの感じで、価格は12,800円。初任給は約4万円になっていて、今に換算すると7万円くらいの感覚か。さらに6年後の1978(昭和53)年には、名刺サイズで厚さ約4mmの「カシオミニカード」が発売。8桁、メモリー機能があり、ボタン電池式。価格は6,500円。機能は今の100均電卓とさほど変わらないだろう。初任給は右肩辺りで、すでに10万円を超えていた。約15年でこの進歩があり、給料は約5倍、電卓の価格は約80分の1となった。産業の高度化と経済の成長を実感する製品の1つと思われる。ただ、いわゆる電卓戦争と呼ばれる所以、各社かなりの犠牲を払い、国内でも当初40社ほどあったと言われる主要メーカーも、残るは数社となってしまった。
書籍一覧
エレクトロニクス発展のあゆみ 黎明期の東北帝国大学工学部電気工学科
(エレクトロニクス発展のあゆみ調査会/編)