特集435 新紙幣発行 - 紙幣、貨幣、通貨(2024年7月29日〜2024年8月13日 ホーム掲載)
2024(令和6)年7月3日、新紙幣発行。世界初の紙幣は、10世紀の中国(北宋)で作られた「交子」だといわれている。それまで銅銭が流通していたが、銅の不足により鉄銭も流通するようになったが、鉄銭は銅銭より重く、持ち運びに不便であり、価値も1/10程度であった。そこで、鉄銭を預かってその預かり証書として交子を発行する交子鋪が現れ、四川の成都で交子鋪が組合を作り、政府の公認を得るなど信用が拡大していった。紙抄(す)きの技術は西暦100年頃、木版印刷は8〜9世紀頃、中国が発祥で木版印刷は宋の時代に隆盛期を迎えたというから、当時の最新技術を使って作られたのだろう。今回の新紙幣でも偽造防止のため、さまざまな技術が取り入れられている。デジタルマネーの時代に、印刷とはアナログだな、と感じるフシもあるが。デジタルはデジタルでいつ暗号などの信頼性が損なわれるかと、日々セキュリティの脆弱性などの脅威と闘っているようだ。量子コンピュータなど、より高速演算の出来るマシンが実用化され、身近になれば、ビットコインなど暗号通貨で使われているRSA暗号などの解読や、ハッシュ関数を解析する計算が短時間でできるようになる恐れもあるようで、新技術によるクラッキングに対抗する新たな暗号などの開発が急がれている。
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