特集520 七夕 - 星・宇宙・神話(2026年7月8日〜2026年7月22日 ホーム掲載)
毎年7月7日の夜、七夕。織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)が年に一度、天の川を渡って巡り会うという美しくも切ない伝説は、奈良時代に中国から伝わった「乞巧奠(きっこうでん)」の風習と、日本古来の棚機津女(たなばたまつめ)の神事が融合して誕生した。実際に二つの星が天の川に移動してめぐり合う訳がないのだが、旧暦7月7日(本年2026年は8月19日)の夜に最も明るく輝いて見えることからとのこと。なるほど都会の夜空で星の微妙な明るさの違いなど気が付くことは稀になった。そもそも天の川を夜空にうっすらと光る帯として目にしたのはいつのころか。実はこの天の川の正体は、太陽系が存在する「天の川銀河(ミルキーウェイ銀河)」を、内部の端から内側に向かって見渡した光景に他ならない。直径約10万光年にも及ぶ棒渦巻(ぼううずまき)銀河であり、2000億〜4000億個もの恒星が集まっている。中心部には超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」が存在し、太陽系はその中心から約2万7000光年離れたオリオン腕(オリオンアーム)と呼ばれる渦巻きの腕の中に位置している。光の速度で約25光年離れているベガ(織姫星)やアルタイル(彦星)もまた、この広大な銀河系の中で太陽の比較的「近所」に存在する隣人星たちなのだ。古代人が「引き裂かれた二人の間の河」に見立てた夜空の帯が、実は人類が住む巨大な宇宙の都市そのもののような一部であったと考えると、何とも心が洗われる気分になる。
書籍一覧
世界で一番美しい深宇宙図鑑
(ホヴァート・スヒリング 著 ; 生田ちさと 監修 ; 武井摩利 訳)