1. 専門書を探すための信頼できる情報源・データベースを活用しよう
1-1. 公的・学術系のデータベースを知っておく
「国立国会図書館サーチ」で全国の蔵書を横断検索
「国立国会図書館サーチ」は、日本全国の図書館、学術機関、行政機関などの所蔵情報を一括で検索できるデータベースです。閲覧用だけでなく、複写依頼や最寄りの図書館への取り寄せ依頼にも役立つため、専門書の所在確認に非常に便利です。
参考:国立国会図書館サーチ
大学図書館の蔵書を探せる「CiNii Books」
「CiNii Books」は、大学図書館を中心に、全国の高等教育機関の蔵書を検索できる国立情報学研究所提供のデータベースです。専門書や研究資料など、学術的価値の高い書籍を探す際に有効で、大学図書館の外部利用制度と組み合わせての活用も可能です。
参考:CiNii Books
「カーリル」で地域の図書館在庫を一括検索
「カーリル」は、日本全国の市区町村立図書館の蔵書を一括で検索できる便利なサービスです。地域の図書館に専門書があるか、貸出中かどうかをリアルタイムで確認でき、無料で閲覧・予約が可能な場合もあります。まず身近な図書館に所蔵があるかを調べる手段として活用しましょう。
参考:カーリル
学会や研究機関の論文・書誌データベースも活用
専門分野に特化した文献データベースは、一般書店に出回らない研究書や資料を探す際に非常に役立ちます。以下のような分野別データベースを活用すると、書名や著者、掲載誌情報などから専門書への道筋をたどることができます。
分野 | データベース名 | リンク |
---|---|---|
自然科学・医学 | JDreamⅢ | JDreamⅢ |
農学・畜産・水産 | JASI | JASI |
建築学 | 日本建築学会論文等検索 | 日本建築学会 |
服飾 | 身装文献DB | 身装文献データベース |
経済史 | 経済史文献解題DB | 経済史文献DB |
女性学 | Winet | Winet文献情報DB |
日本語学 | 日本語研究・教育文献DB | NINJAL文献DB |
国文学 | 国文学論文目録DB | 国文学論文DB |
1-2. 書籍データベース以外で専門書の情報を得る方法
学術誌や研究論文の引用リストから探す
信頼できる専門書を探す際に有効なのが、学術論文や研究書に掲載されている「引用文献リスト」です。論文内で繰り返し引用されている書籍は、その分野における基礎資料や定番文献であることが多く、専門性が高く実績のある本を見つける助けになります。
専門分野のブックレビューサイト・ブログをチェック
学者・研究者が運営する書評ブログや、専門書に特化したレビューサイトも有力な情報源です。特に研究者個人が書いたレビューは、内容の深さ・難易度・有用性など実践的な情報が得られる点が魅力です。SNSや学術系Webマガジンからリンクされていることもあります。
参考:Tokyo Academic Review of Books
学術書の詳細な内容紹介と批評を提供するオンラインジャーナルです。専門知識がなくても理解しやすいよう配慮されており、初学者にも適しています。
参考:Book Bang(ブックバン)
新聞社や出版社が協力して運営する書評サイトで、専門家による質の高い書評が多数掲載されています。
専門書店の新刊情報・特集ページから調査する
大型書店や学術出版社のWebサイトでは、特定テーマの新刊やフェア情報、専門書のランキングなどを特集ページで紹介しています。選書の手がかりを得たいときや、知らなかった出版社の存在を知るきっかけとしても活用できます。
参考:極東書店
極東書店は、学術専門洋書を中心に取り扱う書店で、週2回更新される「極東書店ニュースONLINE」で新刊情報を紹介しています。
参考:日本の古本屋:特集アーカイブ
「日本の古本屋」の「特集アーカイブ」ページでは、過去の特集も一覧で閲覧可能で、専門書や学術書を探す際の参考になります。定期的に更新されるため、新たな発見の場としても活用できます。
1-3. キーワード検索の前に準備しておきたい情報
著者名・出版社・発行年などの手がかりを集める
過去に読んだ資料やWeb記事から得られた著者名や出版社、発行年の情報は、検索精度を高めるための大切な手がかりです。特にシリーズものや学会発行の資料は似たタイトルが多いため、正確な書誌情報の収集が欠かせません。
参考:国立国会図書館サーチ
日本語と英語での検索を両方試す
国際的なテーマや外文研究を扱う場合、日本語検索だけでなく英語検索も試してみましょう。英語表記のタイトルや原著タイトルで検索することで、翻訳書の元情報や海外版のレビューまでたどり着ける可能性があります。
参考:Google Scholar(グーグルスカラー)
日本語・英語どちらのキーワードでも論文・書籍情報を検索可能なツールです。
参考:WorldCat(ワールドキャット)
世界中の図書館の蔵書を横断検索可能なツールで、特に英語での書名・著者検索が強力です。
ジャンルごとの分類(NDCなど)も参考にする
図書館などで専門書を探す場合、NDC(日本十進分類法)などのジャンルコードを参考にすると、関連書籍の棚や分類を把握しやすくなります。特定分野の分類番号を知っておくと、書架での探索やデータベース検索にも役立ちます。
2. テーマから専門書を探すときの実践的アプローチ
2-1. キーワード検索でテーマに合った書籍を絞り込む
広すぎる語句は避け、絞り込み語を活用する
検索時に「文化」「教育」などの広すぎる語句を使うと、数百冊の候補が表示されてしまい、目的の専門書にたどり着きにくくなります。検索精度を上げるには、「文化+地域名」「教育+発達段階」などのように、範囲を絞る語を組み合わせて検索するのが効果的です。
タイトルだけでなく「目次」や「要旨」に注目
タイトルがテーマと一致していても、内容が期待と異なることはよくあります。検索結果では、目次や要旨、出版社の紹介文までしっかり確認しましょう。特に大学出版会の書籍は要旨が丁寧に書かれているため、内容を把握するうえで大きな手がかりになります。
見つけた本の参考文献リストから次を探す
1冊の良書から次の専門書を見つけるには、巻末の参考文献リストが有効です。著者が何を参考にして書いているかを知ることで、学問的な系譜や議論の背景を把握できます。芋づる式に探していくことで、体系的な読書や研究が可能になります。
2-2. 専門書の改訂版や類書に注意して選ぶ
新版・旧版の違いを確認し、必要な内容が載っているかチェック
専門書は改訂されることが多く、内容も大きく変わる場合があります。特に法改正や制度変更が関係する分野では、旧版では役に立たない可能性もあります。購入前には、新旧どちらが自分にとって必要か、発行年と記述内容の違いを確認しましょう。
初版と増補版で内容が大きく変わる場合も
一見同じ書籍でも、初版と「増補」「改訂」版では収録内容や章構成が大きく異なる場合があります。特に複数の執筆者が関わる書籍では、章単位での追加や削除が起こるため、目次の比較や内容紹介の確認が欠かせません。慎重に選びましょう。
古い書籍には研究史的価値がある場合も
内容の更新が進んだ分野でも、初期の専門書や古典的な名著には、研究史を理解するうえで重要な視点が含まれています。現行の主流とは異なる考え方や視点を得るためにも、あえて古い書籍に目を向けることが、新たな発見につながることもあります。
複数の類書を比較しながら選ぶ習慣を
専門書は一冊だけで全体像を把握するのが難しい場合があります。同じテーマでもアプローチや執筆者の立場によって構成が異なるため、複数の書籍を比較することで内容の網羅性や信頼性が判断しやすくなります。図書館での閲覧や目次確認が有効です。
2-3. 検索結果に現れない専門書を見つけ出す工夫
旧字体・異体字で再検索する
古い専門書や歴史資料を検索する際には、現在の漢字と異なる旧字体・異体字が使われていることがあります。たとえば「体」と「體」、「経済」と「經濟」など。うまく見つからない場合は、旧字を使って再検索してみると、対象書籍にたどり着ける場合があります。
翻訳書か原著か、表記ゆれに注意
翻訳書と原著でタイトルの表記が大きく異なる場合があり、「◯◯理論」「Theories of ◯◯」のように、直訳で検索してもヒットしないことがあります。原著者名や出版社、出版年をもとに検索範囲を広げ、表記ゆれに柔軟に対応する姿勢が重要です。
絶版本・限定流通の本は古書店情報も調べる
流通から外れている専門書は、大型書店や図書館でも見つからないことがあります。そうした場合には「日本の古本屋」など古書検索サイトを活用するのが効果的です。取り寄せやオンライン注文も可能なので、絶版本にアクセスする有力な手段になります。
参考:日本の古本屋 詳細検索
3. 専門書を見つけた後、スムーズに入手するための方法と取り寄せのコツ
3-1. 新品・電子版・中古など入手方法ごとの特徴を知る
オンライン書店(紀伊國屋書店)の活用法
専門書を購入する際、オンライン書店を利用すれば在庫状況や発送日を即時に確認でき便利です。紀伊國屋書店の詳細検索では、キーワードだけでなく著者名・出版社・出版年で絞り込めるため、目的の専門書を確実に見つけやすくなります。
参考リンク:紀伊國屋書店 詳細検索
出版社の直販ページや学会サイトでの購入
学術出版社や学会の公式サイトでは、流通書店では扱っていない専門書の直販が行われていることがあります。限定発行の研究資料や会員向け文献なども含まれるため、分野に応じた団体や出版元のサイトをチェックしておくと入手ルートが広がります。
参考:学術図書出版社
大学・短大・高専・専門学校向けの教科書を専門に出版しており、理工系や人文社会系の書籍を自社サイトで購入できます。
参考:現代図書
専門書、学術書、教科書を得意とする出版社で、自社サイトから書籍の注文が可能です。
中古市場での購入を視野に入れるタイミングとは
絶版本や価格の高い専門書を購入したい場合、中古市場での入手を検討するのも一つの方法です。書籍の需要が一段落した時期や新版発行後には、旧版が手頃な価格で出回ることもあります。保存状態や書き込みの有無もチェックポイントになります。
3-2. 専門書を「取り寄せる」際に気をつけたいポイント
店舗取り寄せは、書店ごとに条件が異なる
専門書を実店舗に取り寄せる際は、書店ごとに送料・入荷日・支払条件などが異なります。注文時に店舗在庫がない場合、中央倉庫から取り寄せるか、出版社に直接発注されることもあります。事前に確認しておくことでトラブルを防げます。
取り寄せには数日~数週間かかることもある
専門書は注文から到着までに時間がかかることがあります。出版社からの再入荷待ちや、在庫確認・配送に日数が必要なケースもあるため、必要な時期に余裕を持って依頼しましょう。特に年度末や繁忙期には納期の確認を忘れずに。
事前の在庫確認・キャンセル条件を把握しておく
取り寄せ後のキャンセル不可や返品不可の店舗も多くあります。注文前に「取り寄せ可否」「入荷日」「キャンセル条件」を必ず確認し、不明な点は電話やメールで問い合わせておくと安心です。店舗の公式サイトに詳細が記載されている場合もあります。
3-3. 絶版本や古書を「日本の古本屋」で取り寄せる方法
「日本の古本屋」は全国の古書店の在庫を一括検索できる
「日本の古本屋」は、全国の古書店が出品する書籍を横断的に検索できるサービスです。専門書や絶版本、限定流通書なども多数掲載されており、通常の書店や図書館では入手困難な資料を探すのに非常に有効な手段です。
詳細検索:詳細検索
古書店検索:古書店検索
注文前に在庫状況・送料・状態を必ず確認
古書の購入では、在庫状況や書籍の保存状態、送料・支払方法などを事前に確認することが大切です。商品ページには「並」「良」などの状態ランクが記載されているため、読みたい用途に合わせて選ぶようにしましょう。
絶版本や研究資料を見つける手段として非常に有効
大学出版会や学会誌のバックナンバーなど、市場に流通しない専門資料の発掘には、「日本の古本屋」のような古書検索サイトが有効です。研究者の蔵書が出回ることもあり、研究者や専門職のユーザーにとって貴重な情報源となります。