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メールマガジン記事 日本の古本屋メールマガジン2008

日本の古本屋メールマガジン その66 4月25日号

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     。.☆.:* その66・4月25日号 *:.☆. 。
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☆INDEX☆
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 1. 自著を語る その31『ボマルツォのどんぐり』
 2. イベントのお知らせ
 3. 日本の古本屋即売展情報

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大型連休も近づき、各地で古書展が開催されます。京都勧業会館で
開催される「春の大即売会」( http://www.kyoto-kosho.jp/ )は
屋内開催では日本最大規模となるもの。関西圏から45店が参加する
ビック古書展です。一日がかりでたっぷりお楽しみ下さい。
一方、東京の谷中、根津を中心に開催される恒例の一箱古本市
( http://sbs.yanesen.org/ )は今年で六回目。こちらは町歩きを
楽しみながら古本と出会える人気のイベントです。
連休の一日、古本散歩にどうぞお出かけ下さい。
今月の自著を語るは読書エッセイ『ポマルツォのどんぐり』
(扉野良人著)。戦争前夜のモダニズム詩人=永田助太郎から
はじまるこの一冊は、寺島珠雄、田畑修一郎、加能作次郎、
川崎長太郎と続きます。

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■ボマルツォのどんぐり■
                         扉野 良人

 扉野良人著『ボマルツォのどんぐり』はおよそ十四年にわたる雑
多な文章が収められています。だから文体の統一もなく、一人称は
「僕」「ぼく」「私」「わたし」と文体を決める枠のように遷移し
ているのが、そのときどき書いている当人を思いだすようで微苦笑
してしまいました。
 大半が同人誌、ミニコミ誌に発表したもので、いちばん古いのが
大学生のころ『虚無思想研究』に書いた「辻潤と浅草」です。校正
紙がでても、これはなにも手を加えられないなぁと、まるで他人が
書いたものを眺める思いがしました。実家に帰省中、まだ片付けら
れずのこっていた子供部屋で書いたのを覚えています。奇妙な子供
の作文といってもいいでしょう。
 わたしの書くものは引用がやたら多い。好きな作家の文章を並べ
て、地の文章はそれを引きたてると同時、相手の文体を取りこむよ
うに、わたしの文章はそれに依存しています。とりわけ川崎長太郎
さんや田中小実昌さんの文体は、貫かれた批評性さえ感じるので、
引用箇所ではグッと締まるのです。
 最終章の長太郎さん、小実昌さんはじめ作家の郷里を訪ねる紀行
文は、文学散歩ならぬ引用による文体散歩と言えるかもしれません。
それに作家を育んだ土地は、彼らの文体になにかしら作用を与えた
空気が、今もなお漂っているものです。

 ところで、本書を編集してくださった中川六平さんと出会ったの
は十五年以上前にもなります。東京で学生をしていたころ『思想の
科学』の編集部によく遊びに行き、編集のお手伝いをしていました。
浅草寺の伝法院を借りて『思想の科学』のイベントがあったとき、
六平さんのことはハッキリ意識しました。打ちあげで、今は亡い思
想の科学社社長の上野博正さんが裏声を捻り謡曲を披露したのを、
六平さんは、こうも神妙に聞かされちゃたまんねぇよ、という顔つ
きで聞いていたの覚えています。神妙に聞く側にいたわたしは、こ
のおっさんは失礼やな、と思った。その六平さんが「おいジン(わ
たしの本名)、お前の本つくってやる」と会う度に言うのです。書
くことに自信もなく断りつづけました。それに実家の寺を、京都に
来るときの定宿とし、わたしの母を「ママ」と呼ぶのにもうんざり
としてしまうのです。それが数年前から、本を作ろうと言わず「ゆ
っくりやれや」と声のかけ方がかわり、その変化にどういうわけか
本を出したい気持ちに動かされた。六平さんのなかの変化もあった
のでしょうか。いろいろあったけれど、六平さんがそうやって目を
かけつづけてくださったこと、不思議な人だなぁと、いまは嬉しく
思います。

 収録の「ボマルツォのどんぐり」は十年前にした旅行の記録であ
り、記憶の底に忘れかけた風景をもういちど甦らせてくれる私的な
エッセイです。てんでバラバラな内容を、一冊にまとめるのに「ボ
マルツォ」「どんぐり」に深い意味はないけれど、響きとして豊饒
なイメージがありました。
 タイトルが決まって、装幀をお願いした空中線書局の間奈美子さ
んには出来ればボマルツォの写真を使ってほしいと依頼し、六平さ
んの配慮もあり、なんとA・P・ド・マンディアルグ著、澁澤龍彦
訳『ボマルツォの怪物』(大和書房/1979年)に挿された写真をそ
のまま表紙に配置することが叶った。
 表紙の、どんぐりと松ぼっくりを形どる石柱が交互に並んだ写真
は小川熙さんの撮影になります。1970年10月27日、澁澤龍彦、龍子
夫妻をボマルツォに案内したのは、当時ローマ在住だった小川さん
でした。したがって写真のフレームを外れる背景のどこかには、ど
んぐりを拾う澁澤さんがいるはず。間さんはボマルツォを遠望する
ような、トリコロールの装幀で本書を飾ってくれました。

 人をたずね、本をたずね、文章をたずね、言葉をたずねして書い
てきたつもりのことが、一冊の本となってみると、ほんとうは自分
の方からたずねているのではなく、向こうからたずねてきたのでは
と思え、ほとんど他力本願のように、それは今までにない新鮮な心
持ちでわたしにおとずれています。

□□ボマルツォのどんぐり□□

著者:扉野 良人
発行:晶文社( http://www.shobunsha.co.jp/ )
   2008年4月発行
定価:1,890円(本体:1,800円)
ISBN:978-4-7949-6724-4
判型:四六判
頁数:228頁
装幀:間奈美子 [空中線書局]/写真=小川熙

◇◆扉野 良人(とびらの・よしと)◆◇

1971年京都市生まれ。書物雑誌『SUMUS』同人。
『CABIN』、『modernjuice』などに寄稿。書評のメルマガ
「全著快読 梅崎春生を読む」連載はこの4月号(vol.357)
が最終回。
本職は僧侶です。

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◇ 第12回 青空古本掘り出し市 ◇
◆   ~春の古本まつり~    ◆
└───────────────┘

会場には早稲田の古書店を中心に、文学・人文学科・歴史・学術書・
美術・全集・叢書・文庫等、様々な分野の古書が出品されます。
ぜひ、この機会に早稲田に足をお運び頂き、お客様自身で沢山の本の
中から新たな出会いを見つけ出して下さい。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。

日にち:5月19日(月)-5月24日(土)
時間 :午前10時~午後7時(最終日は午後5時終了です)
会場 :早稲田大学構内正門前(大隈講堂向かい)
お問い合わせ先:金峯堂書店 メール: waseda-1@kinpoudou.com
        会期中  080-3275-7103

会場にて3千円以上お買い上げのお客様毎日先着15名様に、
アトム通貨(地域通貨)160馬力をプレゼントいたします。

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◇としょかんのこしょてん VOL.12◇
◆ 佐野繁次郎の装幀本      ◆
└───────────────┘

千代田区立図書館では昨年のリニューアルの際、
神保町の古書店街と連携した展示スペースを設けました。
各書店が、初版本、手塚治虫、写真史、辞書、和本、映画パンフなど
得意とするテーマを月代わりで展示しております。
5月の展示は「佐野繁次郎の装幀本」となります。
本展示は「アンダーグラウンド・ブックカフェ VOL.11」
(6月1-3日 東京古書会館)の併催展示
「佐野繁次郎の装幀モダニズム」展(同日程)のプレ展示となります。
本展の企画・展示品は「佐野繁次郎の装幀モダニズム」の企画者
でもある林哲夫氏によるものです。
小さなスペースですが、サノシゲのエキスいっぱいの展示をぜひご覧下さい。

会期:5月1日(木)~6月4日(水)
会場:千代田区立図書館

http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/

「本の街・神田神保町」のポータルサイト
【BOOK TOWN じんぼう】http://jimbou.info

━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━━

4月~6月の即売展情報
⇒ http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

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日本の古本屋バックナンバーは以下のURLからご覧いただけます。
見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
  ⇒ http://www.kosho.ne.jp/melma/

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  次回は2008年5月下旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,300店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその66 2008.4.25

【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・TKI
    東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
    E-Mail melma@kosho.ne.jp (メールマガジン専用)
    URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
    広報部:内堀弘
    TKI:岩森正文

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