古本屋はパラノイアか古書月報-パラノイア文献学より- 泰成堂書店 池田 泰 |
先日、理事の方から「月報の原稿書いてよ」と言われた。 また調子良く「いいですよ」と何も考えず答えてしまった。 「パラノイア文献学」というコーナーだそうだ。 最近、忙しくてあまり月報も読んでないので、事務所に戻って読み直してみた。たまたまアルバイトさんが来ていて、聞いてみた。 「パラノイア文献学っていうコーナーを書いてと言われたんだけどさー、パラノイアって何?」 「パラノイアって病気の名前でしょう」 「何、病気の名前!」 医学史専門店としては、病気の名前と言われてはだまってはいられないのだ。 早速、棚から医学用語辞典(こういう本があるところが良いところ)を調べてみた。 ☆パラノイア~妄想症・偏執症~ すっかり何を書いて良いのかわからなくなってしまった。 そもそも古本屋には、世捨て人・社会から一歩外れた人というイメージが伴う。異常な本への執着といったようなことか。 それはそれで否定はしないが、全ての古本屋がそうなわけではない。 さて、ともかくも古本屋が本の知識を持つことは当たり前のことだろう。その知識の持ち方は多種多様であって良いし、社会の中で古本屋であるからどうだとかこうだとかいうのもナンセンスだろう。もっと自信を持ってアカデミックに生きても良い気がする。まあ、本に全く興味なさそうな人も市場に一杯いるので、そういう意味では、パラノイアと極をなすのかもしれないし、このコーナーの意味すら考えない人もいるのだろうけど。 |
東京古書組合発行「古書月報」より転載 禁無断転載 |