少しの仕掛と趣向福岡・かぼちゃ堂 首藤 卓茂 |
目録で本を買いあさりはじめた時代に古本屋になろうという気持ちがこうじた。念願かない脱サラ、古本屋となってはや十年をすぎた。本屋になるまえの気持ちはことのほか強く、店をもつこと、目録をつくること、テーマにこだわりたい、というドグマじみたものであった。
しかし店舗を探しながらもうまくいかず、先延ばししながら無店舗。 始まっていくばくもないネットや即売会になりわいの糧をもとめた。 また目録のテーマは日々の仕事のなかでかなり変わってきている。即売会の共同目録への参加、集書でのこだわりといったところにテーマ意識がすこし顔を見せるだけである。 かぎられた紙面、すこしの仕掛・趣向。それも十分できていないのであるが、共同であれ、自店であれ目録はおもしろく広げることができるのではないかという思いはつよい。またネット時代であるためにかえってアナログの世界が刺激的ではないか。これは無店舗に対する店舗にもいえることかもしれない。いっきに結論にとんでしまうが、すこしの仕掛・趣向のひとつは、だんだら模様の近世近代の九州の風土を目録にすこしでも刻みこんでいけたら、ということだ。目録はおもしろいもの、それが原点。 |
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