安部公房 著、新潮社、1986年9月、212p、20cm
初版 カバー 帯付 カバーヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
安倍公房の本は結構読みましたが、なかには難解で読み難い本も幾つかありました。個人的に気に入っているのはSFチックな『第4間氷期』や、『R62号の発明』などです。
そんな氏の貴重なエッセイや評論集などをまとめたのが『死に急ぐ鯨たち』です。ここでの氏の口調は噛んで含めるような優しいもので、いまの社会が抱えている病根や、人類の所業のようなものが、スッと頭のなかに入ってきます。
氏の作品は大抵新潮文庫で読めるので、この全作品をいつかは読破してみたい!と思っていましたが、大分前に幾つかの代表的な本を残して絶版になってしまったみたいです。ですがこの『死に急ぐ鯨』たちは残して欲しかった。実際に私はこの現実社会を生き抜くための指針として時折読み直しているからです。
こういう本がもっと世の中に広く出回ることを願います。