異邦の香り ネルヴァル『東方紀行』論 <講談社文芸文庫 のH1>
ユリイカ 1992年 9月 特集 ※ マンディアルグ ― エロスの夢
幻滅 : メディア戦記 上下 <バルザック「人間喜劇」セレクション / 鹿島茂, 山田登世子, 大矢タカヤス 責任編集 第4・5巻>
五感で味わうフランス文学 時にマンディアルグとともに豊穣な海の幸を味わい、コレットが醸し出す濃厚な花の香りに酔う。また時にネルヴァルが追憶する古い土地の歌に耳傾け、マキーヌが心惹かれたピアノの音に、地獄を見てきた者の音色を感じ取る。堀口大學訳のグールモンの詩にあからさまに官能をくすぐられ、マンガレリの静謐な世界に死の影の谷を行く…… 名翻訳家にして読書の達人、野崎歓は前著『フランス小説の扉』で、極めつけの名作から知られざる逸品まで、その味わいを見事な手際で語ったが、ここにふたたび彼が誘い込むフランス文学の名作の森にさまよううちに、読者は書物のなかに人生のすべてが語られていることを知り、自らの次なる読書の指針を与えられるだろう。ちょっと大げさに言えば、ウェルギリウスにみちびかれるダンテのように。 ロートレアモンからバルトまで、ここに取り上げられた21冊は、読む快楽が生きる快楽につながることをあらためて教えてくれる。
いかにしてともに生きるか : コレージュ・ド・フランス講義1976-1977年度 <ロラン・バルト講義集成 1>
いかにしてともに生きるか : コレージュ・ド・フランス講義1976-1977年度 <ロラン・バルト講義集成 1>
キネマ旬報 1636号 通巻2450号 2013年5月下旬号