古代学研究会編、六一書房、2025
弥生時代と古墳時代の集団の把握と評価には、未だ大きな隔たりが認められる。とりわけ等質的な集団関係が想定されている弥生時代中期から、一定の階層分化を前提とした集団関係が想定される古墳時代へといたる社会変化の途上に位置する弥生時代後期の実体把握が課題となっている。
弥生時代中期のような大規模集落も,古墳時代のような顕著な墳墓とそれに対応する居館や生産拠点も認められない当該期の考古資料からいかなる社会を復元すべきか。この時期における社会の評価は,日本列島における古代国家形成のシナリオに大きく影響する重要な論点であり,弥生時代中期よりも社会が単純化したのか,あるいは別の形の複雑性をもつ社会へと移行したとみるべきか,積極的な問題設定が求められているといえる。
本書では、こうした目的意識に基づき、記録保存目的を主とする発掘調査によって得られた膨大な集落遺跡出土資料を対象とした各地の研究者の検討を収録。集落遺跡から新たな弥生時代後期の集団の把握と評価を試みることで、弥生時代研究と古墳時代研究の統合をはかる。
古代学研究会2021年度拡大例会シンポジウム「弥生後期社会の実像」をもとにした成果報告書。
取り寄せに2週間ほどかかります。