癌研名誉所長 菅野晴夫 監修 癌研所長 北川知行 編著、南江堂、1995.3、520p、31cm
監修者序
「癌の病理組織アトラス」 全1冊が完成した。 北川知行博士を中心とする癌研と関連機関の病理研究者30名
の数年にわたる努力が結実して世に出ることとなった.
ここ久しく優れた癌の病理組織アトラスの出現が待ち望まれていた。 これにはいくつかの理由がある.
その1つは,研究の急速な進歩に基づく病理組織学の高度化である. 腫瘍分類とその解釈が大幅に改められ
新しい形になっている. WHO の分類もまた書きかえられている。
その2は,病理診断における専門化の進行である. わが国においては, 臓器ごとに腫瘍研究会ないしこれに
準ずる研究会, 学会が結成され, 取扱い規約と病理組織分類が定められ, 広く用いられている。 これらの分類
も改訂を重ねて新しくなっている。 これら個々の臓器の分類と附図が1冊にまとまっていれば,いかに便利で
あるかと, 関係者は日頃待ち望んでいた.
その3は,このような高度化, 専門化のすすんだ病理組織の全体に通ずることは決して容易なことではない
ということである。 しかし, 診断を担当する病理医としては, どんなものが来ても正確に診断して臨床に,そ
して患者に応えなければならない。 簡便で能率よく役に立つ本が病理医にとって是非必要であった。
さらに言えば,医学における病理の立場が変わってきた。 剖検が主で, プローベが従であった病理は,プロー
べが主で剖検が従になっている。 診療医学において病理は臨床と共に責任を分担し patient care pathology (治
療病理学)と呼ばれる積極的な立場に立っていることに, 癌治療においては,病理診断が decision making
の主体となっている。 病理医はそれを自覚して, 誤りのない正確な診断をすることに骨身を削っている
その他・・
状態:良好です