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メールマガジン記事 日本の古本屋メールマガジン2004

日本の古本屋メールマガジン その22 12月21日号


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     。.:*゜・☆*その22・12月21日号・*:.☆.
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このメールは日本の古本屋会員の方で、メールマガジンの配信を
希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部にございます。
【日本の古本屋】は全国650書店参加、データ360万点掲載
の古書籍データベースです。
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◆INDEX◆
1.自著を語る 第二回 古本屋の女房
2.ABAJ 40周年記念講演会のご案内
3.日本の古本屋即売展情報
4.年末年始のお知らせ
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好評の「自著を語る」コーナー、第二回は黄麦堂夫人田中栞さんの
『古本屋の女房』です。
無愛想で取っつきづらいと思われがちの古書店店主の別の一面が
浮かび上がってきます。お楽しみ下さい。


■実は古本屋店主は優しい■


古本好きが高じて古本屋好きとなり、古本屋と結婚して15年になる。

私が主人と初めて出会ったのは、今から25年前。渋谷書店という新
刊書店の店内においてだった。
文芸書担当の書店員である彼は、余計な言葉を発さず厳しい態度で
仕事に没頭し、どこか周囲を拒絶するような、頑なな雰囲気がある。
学生アルバイトの私が、気軽に会話できる相手ではなかった。
私の大学卒業と同時に2人の接点はなくなったが、その2年後、黄
麦堂(おうばくどう)という横浜の古本屋の店内で、私は彼と再会
することになる。
古本屋の店主となった彼は、新刊書店の店員だった時とは別人のご
とく変貌していた。本の話をし始めると尽きることがない。驚くほ
ど饒舌になり、そして何より、新刊書店員時代のぎすぎすした堅さ
がなくなっていた。彼はすっかり、優しい古本屋店主になっていた。

古書業界は男の世界である。確かに東京古書会館に女子トイレは増
えたけれど、数年前は「古書マニアにも古書店主にも女はいない」
と断言され、いや、今だって誇り高き古書店主たちの認識は、そう
変わっていないんじゃないかと感じる。
抽選で当ててもらえなかったり、邪険な対応をされたりすることも
珍しくない。知合いの女性は、古本屋になりたくて、組合の理事を
務める地元古書店の門を叩いたが、一喝されて断念した。
しかし、実は諦めてはダメで、そこで「一押し」が肝腎なのだと、
私にも次第にわかってきた。

古本が好きで、古本屋めぐりをしたい。
仕事と育児と家事と古本屋めぐりを、だから同時進行ですることに
なる。校正ゲラを電車の車内でチェックしながら子供にお菓子を食
べさせながら古本屋へ行く(私の本業は校正である)。
洗濯機を回しながらオムツを替えながら古書目録を読む。

やりたいことを貫くと、温かい眼差しが増えてきた。
古本屋の店主は、偏屈で恐くて近寄りがたい……そんなイメージ
払拭してくれる人が、1人、また1人と現れた。
そうなのだ。店主たちの振る舞いは、「こんな本を買わないで、
化粧品の1つも買いなさい」「古本屋なんていう不潔な世界に踏
み込まないで、きれいな家の中にいなさい」という、彼らなりの
女性に対する優しさの裏返しだったのだ。
ぶっきらぼうだが、冷たいのではない。お付き合いしてみると実
は優しい、という古本屋店主が多い。
そのことを理解できた私は、心おきなく買いたい古書を買い、行
きたい古本屋へ行くようになった。

古本屋へ行き、本を買い、店主と話す。店主と結婚して女房になる。
そして今度は子連れで古本屋へ行き、また本を買う。店舗移転のト
ラブルでは不動産屋と闘う。そんな話を綴って『古本屋の女房』は
本になった。
めぐりめぐった古書店150軒の索引、「愛想笑い」に始まり「離
婚」で終わる「人生いろいろ索引」も作った。素人ながらイラス
トも描いた。
新刊なのに古本みたいなブックデザインに仕上がったが、配本後数
日でネット古書店に出始め、本当の古本になることもできた。
大好きな古本屋の棚に並び、古本の仲間入りを果たせたことが嬉し
い。
これからも、私は古本屋に通い続けることだろう。


田中栞『古本屋の女房』平凡社、定価・本体1500円+税
四六判上製糸かがり、スピンつき、総224ページ。

田中栞(たなか しおり)
校正者、書物研究家。
1959年、横浜生まれ。横浜の古書店「黄麦堂」の店主夫人。
日本出版学会会員、日本書票協会編集顧問、書皮友好協会特別会員、
東京製本倶楽部会員。『季刊「銀花」』『彷書月刊』『図書館の学
校』などに書物・書店関係記事を執筆する。書肆ユリイカの本の蒐
集、『西国立志編』諸本の書誌学的研究なども。

黄麦堂

http://www2.neweb.ne.jp/wd/ohbakudo/

平凡社(出版物検索)

http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/

『古本屋の女房』書籍情報

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582832423/

qid%3D1103082708/250-4886805-4096253

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■  ABAJ創立40周年記念 講演会   ■

ABAJ(日本古書籍商協会)では創立40周年記念として、「世界の古書
・日本の古書」展 を、六本木ヒルズ アカデミーヒルズフォーラム
で、2005年1月 28日(金)11時~20時・29日(土)10時~18時で行
います。
また、東京古書会館にて下記の通り記念講演会を行います。

~アメリカの古書業界の現状と未来の展望~
ITオンラインビジネスが古書業界に与えた影響

日時 2005年1月13日(木)18:00~20:00 講演時間80分
(通訳時間含)
会場 東京古書会館7F会議室
講師 Mr.John Crichton(ジョン・クライトン)
President,Antiquarian Booksellers' Assoxiation of America
(アメリカ古書籍商協会会長)サンフランシスコ、BrickRowBook
Shop経営者。
二年に一回選挙で選ばれる全米約450古書店の代表者。
サンフランシスコの中心地のビル2階に店舗を持つ、英米文学・
初版類等の専門店。

オンライン販売で実績を挙げ、ABAA・ILABのオンライン構想の中心
的役割を演じている。
30年ぶりにILABの会長がABAAから選出された事もあり、ILABのITを
中心とする新構想に積極的に協力している。

日本古書籍商協会HP(ABAJ)

http://www.abaj.gr.jp/index.htm

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■日本の古本屋 即売展情報■
新年は読書から。1月・2月の即売展情報。

http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

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■日本の古本屋年末年始のお知らせ■

日本の古本屋のお問い合せ窓口は12月28日より1月6日までの間
冬季休業となります。
この間お問い合せ頂きましたメールは1月7日より順次お返し
させていただきます。
お問い合せによりましてはお時間をいただく場合がございますの
で、ご了承下さい。
なお、古書店よりの返事がない場合などは第一報メールをご参照
の上、直接古書店にお問い合せ下さい。
古書店の休業期間につきましては、古書店情報欄をご参照くださ
い。
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日本の古本屋バックナンバーは以下のURLからご覧いただけます。
見逃したメールマガジンはここからチェック!
【バックナンバーコーナー】

http://www.kosho.ne.jp/melma/

次回は2005年1月下旬頃発行。
お楽しみに!
。.:*゜・☆*゜本を売るときは、全古書連加盟の古書店で。☆*.:*゜*
     *全古書連は全国古書籍商組合連合会の略称です。
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日本の古本屋メールマガジンその22 2004.12.21
【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・事業部・TKI
     東京都千代田区神田小川町3ー22 東京古書会館
     E-Mail melma@kosho.ne.jp(メールマガジン専用)
     URL http://www.kosho.or.jp/
【発行者】
広報部:中野照司 藤原栄志郎
事業部:田中隆志 T K I: 岩森正文
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