伊藤 弥四夫 (著)、サクラクレパス、1982/8/1、110p
はじめに
子どもの版画は戦後 (1951年頃から)の民間教育運
動とともに全国的に普及し盛んになりました。 はじ
めの頃は, 小学校高学年と中学校の子どもたちの版
画が主になっていましたが、現在では, 幼児や障害
を持つ子どもたちの造形活動にも版画が取り入れら
れるようになりました。
それは,なぜでしょうか。
幼児や障害のある子どもの教育で, 造形活動の重
要性が認識されるとともに,版の表現に内在する子
どもの目と手と頭の働きが,子どもの発達と密接に
関係することが理解されてきたからです。
本書では,幼児と小学校低学年の子どもが可能な
版画を取り上げ, 子どもの発達に即した材料・用具
の取り扱いを示しながら,子どもの遊びの中に版画
遊びを導入し, そのたのしさを体験できるように実
践例を多く紹介しました。 そして, 版造形の要素を
明かにして, 版造形の基礎を身につけながら, 発想
が広がり, 子どもの年齢に応じて表現が発展できる
ように, その手だてに重点をおいてまとめました。
ひとつの版種と他の版種との併用, 版画と他の表
現との関連にも留意し、子どもの造形表現の拡充を
はかれるようにしました。
また, 版の表現が子どもの生活や行事に利用され
て, つくる喜び使うたのしさを体験できる例を紹介
し, 造形と生活の結びつきの方向を示しました
子どもの成長にとって,もっとも大事な時期とい
われる幼児, 低学年の造形活動に版画表現が取り入
れられ,子どもの創造力が伸びることを願ってやみ
ません。
初版 カバー グラシン紙包装にてお届け致します。